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ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
SAO編
episode7 笑顔と希望2
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 エギルの反論は、「『思い出のアイテム』ということは、別に結婚指輪でなくてもギルドの印章でもよかったのではないか」というもの。確かに、実験してみないことには分からないが、『結婚指輪を投げ込め』ではなかったために、それも考えられる。

 その議論の最後に、極論として俺がもたらした意見。

 「『結婚していた者』に関しては、現実世界で死んでおらず、復活の機会を待って待機空間とでも言うべき空間におかれているのではないか、だな……」

 一度だけ、キリトに聞いたことがあったのだ。
 既に死んだはずの人の映像を、見たことがある、と。

 確か五十何層かが最前線だったころだったが、その人が、自分に向かってほほ笑んで手を握ってきたのだ、と。もしそれが、俺達が考察したように「待機空間」から呼び出された人だったなら。その空間が本当に存在するのだとしたら。

 その空間に行く条件は、分からない。
 だがソラは、その人物とはかなり多い共通点……「既婚者」、「女性」、「一定以上のレベル」、そして「殺人者に殺された」などがある。それらを満たすプレイヤーは、まだ待機空間にいる…つまりは、生きているのではないか。

 それの意味するところは。

 「…この先本当に、『死者を生き返らせるクエスト』が見つかる可能性が、ある…」
 「…シド。俺は、それは無いと思う。そして、それを求めることは、間違っていると思うぞ」

 この先と言わず、今回のクエストでもあの「黄泉への案内人」を倒して…倒せていたなら、違った結末があったかもしれないのだ。本当に、彼女の意識と出会える…或いは、生き返ることも。

 そして、俺がこの可能性に狂うのを恐れて、エギルは俺を止めたのだろう。確かに、その危険性は自覚している。クリスマスのキリトを見ているからだ。恐らく今の俺は、あいつと同じ…もしかしたらそれ以上に狂った目をしているのかもしれない。

 しかし俺は、その意見を一人で追おうとはしなかった。

 俺は、キリトと違う。
 一人で全てを出来るほど、強くないのだ。

 特に、今の俺は。

 だから、友人を頼った。

 「……わかってるよ。これだけを探して生きることはしない。俺は今まで通り、クエスト攻略を続けるだけだ。攻略組への協力も行う。俺自身、ボス戦に出たっていい。少しでも攻略のペースを上げたいからな。だからエギル、それらしいクエストがあったらすぐに知らせてくれ」

 エギルも、それ以上は止めなかった。

 俺の目は、恐らく相当の決意、覚悟、そしてその奥に狂気を宿していたのだろうが、それでもまだちゃんと冷静さを、理性を保っている。そして、「ソラを生き返らせる」という目的を持った俺は、死ぬわけにはいかない。ここしばらくのような「死に際の集中力の
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