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ソードアート・オンライン 夢の軌跡
芽生える気持ち
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さい頃に交通事故にあって、亡くなったんだ。その時に、お母さんはお父さんが死んで行くのを見ていることしかできなくて、心に傷を負っちゃったの」
 自分でも以外なほど、すらすらと言葉が出てきたけど、それは羽月君が真剣に聞いてくれているからだと思った。
「なるほど。だから朝田さんのお母さんは、心が傷ついたままだったんだ」
「そう。そんなところにあんな事件が起きたから、もっと深く傷ついちゃったみたいで……」
「そうか……。やっぱり、心配だよね」
「うん」
「……わかった。それじゃあ僕は、色々と調べてみることにするよ」
 私はその言葉の真意を理解できなかったから、問いかけた。
「調べるって何を?」
「精神的な病気を治す方法、かな」
 あっけらかんとした口調で答えられて驚いたが、すぐに否定する感情が浮かび上がってくる。
「そんなこと、できるわけないわ」
「やってみないとわからないよ。それに、こういうことだって知っていれば、いつか役に立つかもしれないしね」
 その言葉と共に浮かべた笑みを見て本気だと悟り、唖然とした。
 しかし私は、羽月君が勉強でも力を抑えていることを知っている。なぜならこの前実際に、羽月君の従兄弟が去年高校で使っていたという問題集をすらすらと解いているのを見たことがあるからだ。あの時は呆然としたのに、なぜか自然と納得できた自分がいた。
 まあそんなことがあったからか、なんだか羽月君ならできそうな気がして、私は笑顔で返した。
「わかったわ。頑張ってね」
「うん。でも、あまり期待しないで待っててよ」
「そうしておくわ」
 そのあと、なんとなく可笑しくなって、顔を合わせて二人で笑った。


   ***


 あれから二週間ほど経ったが、羽月君は毎日図書館で膨大な量の本を読んでいる。
 私もたまに図書館に行ったけど、いつもいるからとても驚いた。
 羽月君は本気で治そうとしてくれているらしい。
 だから私は、本当に優しいなあと心の底から思って、最近は羽月君がいるかの確認のために毎日図書館に通っている。
「羽月君」
「朝田さん。今日も来たんだ」
「それを言うなら羽月君だって毎日来てるじゃない。しかも私よりも早くに」
「治せるなら、できるだけ早く治したいからね」
 そう言ってくれるのは嬉しいけど、学校がある日は学校が終わってからすぐに来てるみたいだし、休みの日なんて本当に朝から晩までいるから心配になってくる。
「でも大丈夫なの? 道場に通ってるんでしょ。それに家族の人は心配しないの?」
「道場には理由があるので休ませてくださいって言ってあるし、家族の方も人助けのためって言ったら、自分が満足するまでやりきりなさい、って言われたから大丈夫だよ」
 どうやら私の心配は杞憂だったみたいだ。それに、羽月君の
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