第十六章
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グインは受け入れないように作ってある」
「視覚的インターフェイス?」
「んー、要は見える部分だ。パソコン内部で行われている処理を、ユーザーが理解するために必要な、視覚的要素といえば分かるか」
…逆に言えば、視覚的要素、つまり画像や動画だけなら受け入れる余地がある。そういうことか。
「――画像だ!」
「な、なんだよ」
「僕のノーパソに大量に表示された、杉野って人の解体写真。少なくとも、あれを受け入れる余地はあったんだね」
紺野さんの目の動きが、ぴたりと止まった。
「――そうか。人間が音で発狂するように、視覚で発狂することもあるな。標的がハルなら、問題はないが…人間に近いビアンキだったら、最愛のマスターが死に、バラバラにされる幻を見せられることで、発狂に至ることも……つまり」
紺野さんは、はっとしたようにうすく口を開けて呟いた。
「あのでかいウイルスは囮か!リンネが本当に届けたかったのは、ビアンキを狂わせる為の画像だ…しかしなんでこんな事を…」
「…私、なんでだか分かる気がする」
いつしか僕の傍に戻ってきていた柚木が、僕を見上げた。
「柚木ちゃん…女の勘かい」
「超・失礼ね!年がら年中勘で動いてるわけじゃないんだから!…答えはずっと、ビアンキが示し続けてたじゃない。…目玉だよ」
「目玉?」
「リンネは、ずっと復讐したかったんだよ。あの人たちに。でも、それはリンネには出来ないじゃない」
「………」
「リンネに命令できる網膜は、あいつらが握ってるんでしょ。だから、あいつらの命令を受けないMOGMOGが必要だったのよ。自分とビアンキの体験をごっちゃにして、あいつらを狂うほど憎ませたのも、代わりに復讐させるため、じゃないかな」
「…す、すごい、柚木が勘以外の動力で動いてる!」
「あまり馬鹿にしないでくれる。一応、あんたと同じ大学に入ってるんだから」
…テストも勘でどうにかしたんだと思っていたよ。と言いかけて飲み込む。
「でも、勘もあるよ。…私がリンネだったら、絶対どんな手を使っても仕返ししてやる!って思ったから」
そう言って、僕にしか分からないくらいの小さな微笑を浮かべた。こんな時なのに、みぞおちの辺りを、湯水を含んだ綿がじわーっと広がるような幸福感が満たした。
「ぼ、僕も…」
「うそだね」
小さな声でささやいて、肘で小突かれた。
「どうした、耳まで赤いな。考えすぎて知恵熱が出たのか」
紺野さんが心配そうに覗き込んできた。慌てて首を振り、少し後じさってごまかした。
「いや…大丈夫」
「無理するなよ。昨日から、やばい事続きだからな」
そう言われると、本当に知恵熱が出そうだった。
「…全部終わったら、高熱出して3日くらい前後不覚に寝込むよ」
「俺も、そうする。酒飲んで寝る」
そうは言ったものの、鬼塚先輩は追
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