暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
骸骨の刈り手
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カル・リーパーはSAOの基礎中の基礎である重力加速度を味方につけている。どちらが速いかは、火を見るより明らかだ。

「チッ!」

レンは大きく舌打ちをして両腕を振ろうと持ち上げる。だが、その口元は苦々しく歪められている。

それもそのはずだ。レンのユニークスキル《鋼糸(ワイヤー)》は鋭さに重点を置き、攻撃自体の重さに重点を置いていない。

すなわち、落下してくるものを防ぐとか、敵の攻撃を防ぐとかの利点がないのだ。

───どうする!?

レンは混乱した脳裏で叫ぶ。その間にも来るべき惨状は、着々と近づいて来ている。

骨百足の巨大な影は、逃げる三人を覆い隠して押し潰そうとする。

だが───

ドッゴオオォォオオオォオーンッッ!!

鼓膜が弾け飛ぶような轟音が部屋に響き渡り、床全体がまるで小惑星が衝突したように震える。

土煙が巻き上がり、攻略プレイヤー達を瞬く間に覆う。

その煙が徐々に晴れ、その向こうに見えてくる二つの影。

一つは人型。バカみたいにでかい両刃斧を持ち、その筋肉質の体を白銀の鎧が覆っている。

一つは異形。そのシルエットは、人外の頭骨を持つ骨百足。

落下する時のままの格好で、宙空に縫い付けてあるように止まっている骨百足を、大きいといっても斧一つで宙に持ち上げている男は言う。

ゆっくりと、何の気負いもなく。

「臆するな。いかなる強敵でも、我が認めた卿らならば大丈夫だ。案ずるな、必ず道は開けている。問題はそこを行くかどうかだ」

そこでヴォルティスは言葉を切り、全員をゆっくりと見回して言う。

「さて、卿らは行かないのかな?」

そう言い切って、《白銀の戦神》はにやりと笑う。

優しく、獰猛に、笑う。

そして、その笑みに後押しされるように全員も笑う。レンも、ユウキも、テオドラも、キリトも、アスナも、ヒースクリフも、シゲさんも。

笑う。

獰猛に

笑う。
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