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とある誤解の超能力者(マインドシーカー)
第7話 再会
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理と二人の妹がいて大変だな」
牧石が考えていたのは、目黒のことだった。
牧石は詳しく尋ねることをしなかったが、複雑な家庭環境であることは、先ほどの真惟のはなしでもよくわかる。
牧石にも、変わった姉がいるが、それだけだ。
今頃、元気よくサイキックシティ最速の自転車で向かっていると思われる親友の事を同情しながら、高校への道のりを急いだ。



その先に、待っている存在を知らないままで。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



牧石が、真惟と出会う少し前にさかのぼる。
牧石の通っている高校に近い場所の白塗りの小さな研究所から、高校生らしき人物が、玄関で見送りに来ていた女性に挨拶をしていた。

「姉さん、行ってきます」
「啓也、気をつけてね」
啓也から挨拶を受けた磯嶋は、残暑の厳しさにも関わらず、黒衣を纏っていた。
外に出ないのであれば、問題ないかも知れないし、サイキックシティにおける最先端の科学技術を駆使すれば問題がないかも知れない。
だが、磯嶋を眺める人にとっては視覚だけで蒸し暑さを感じることになるだろう。

「……、わかっています」
だが啓也は、磯嶋に対してそのような感情を抱くことなく、素直にうなずいた。

磯嶋は、啓也の姿を凝視していた。
啓也は、どこにでもいるような、少しだけ背が高い普通の学生である。
磯嶋の顔に少しだけ似たところがあるが、注意してみなければ気づかない程度である。

啓也は、磯嶋に見守られながら、研究所を後にした。

啓也を見送った、磯嶋の背後から独特の低い声が聞こえる。

「磯嶋さん」
「草薙先生」
磯嶋は、振り向いた先には、白髪の小さな老人がいた。
草薙は、ここの研究所の所長であり、今回磯嶋が行った計画の協力者の一人である。
草薙の研究は、ほかの世界よりも進んでいると言われているサイキックシティにおいても、いつ完成するのか、完成できるのかわからないほど進んだ研究であり、だれも草薙の研究に手を貸す者はいなかった。

磯嶋が、スーパーコンピューター「スキュラ」と一人の男の頭脳データを携えてくるまでは。

磯嶋は、超能力開発研究所の所長からの派遣辞令と、市長からの研究予備費の予算執行書を携えて草薙の研究所に乗り込むと、8月中に試作品を完成させた。
研究が完成したことに、草薙は感謝していたが、一方では不満も残っていた。

「磯嶋さん。
研究を手伝ってくれるのはありがたいが、勝手に人の息子に、名前を付けないでもらいたい」
「いいじゃないですか、あれは間違いなく啓也なのですから」
「……。
まあ、そうだな」
草薙は、磯嶋の言葉にうなずくしかなかった。
確かに、あれは春樹ではなかった。
だが、春
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