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とある誤解の超能力者(マインドシーカー)
第5話 花火大会
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だいいち、大勢の思考を同時に読みとれるわけでもない」
黒井は、牧石の言葉に反論する。
「そうか、そうだな」
牧石はうなずくと、椅子に座り直した。

「まあ、攻撃的な能力を持っていないからあまり役に立たないけどね」
牧石は、両手を前に出して答える。
「そうと決まれば、花火大会に出発だ」
黒井は、牧石の腕をとると、レジに向かっていった。



牧石と黒井が向かった先は、都市から少し離れたところにある、山の斜面にたてられた神社であった。
境内に続く道の前には、多くの出店が軒を連ね、呼び込みの声を上げている。


「牧石。
これは、なんだ?」
黒井は、屋台の一つを指し示す。
「射的ではないのか」
牧石は、素直に感想をのべる。
「射的の銃と言えば、ライフルのように細長い気がするが、あの銃は違うのではないのか?」
牧石は、黒井の指摘の先にある銃のようなものを眺める。

「……」
銀色のフォルムに、ドライヤーの先端を銃口に細め、先端にビー玉のようなものを装着した形状。
1970年代の人が23世紀の未来に登場する銃を想像したような形状であった。
一人の男の子が、親から貰ったばかりの小遣いを店員に支払うと、うれしそうな表情で、銃を手にした。

牧石はサイキックシティのおもちゃについてあまり詳しくないため、感心しながら、
「さすが、サイキックシティ。
チューブの中を走る車とか、蛍光灯のような……」

牧石の話が急に止まった。
牧石の目の前にいる少年が、標的に向けて打ち出した銃から、レーザーのようなものが射出され、標的を貫通させたからだ。
標的となったカエルのぬいぐるみは、音を立てて崩れ落ちる。

「……」
牧石は声が出なかった。
「……、牧石。
あれが、・・・・・・射的なのか?」
隣にいた、黒井は驚きのあまり牧石の腕にしがみつく。
「……」
牧石は首を振る。
牧石が知っている射的は、景品を打ち落とすことで入手できるはずだ。

「おとーさーん。
当たったよ、当たったよ!」
景品に穴をあけた子どもは、後ろにいる男に向かって、喜びの顔を全開にする。
「おう、坊主、もって行きな!」
50近くの店員は、左手で子どもの頭をくしゃくしゃにしながら、右手で腹に黒い穴があいたカエルのぬいぐるみを手渡す。

あんな損傷を受けたぬいぐるみをもらっても嬉しくないだろう、と牧石は思ったが、
「ありがとう、おじさん!」
「!」
子どもが手にしたぬいぐるみが、いつの間にかきれいな姿をしていた。
「……」

「なあ、牧石。
あれは、射的なのか?」
黒井は、牧石の腕をつかんだまま、牧石に質問する。
牧石は首を横に振る。
「ごめん、わからない……」

そんな牧石達に、答えを教えてくれた人
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