第4話 研究所
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ーを回収口に持っていくと、目の前にいる古川に視線を移す。
古川の普段の髪型はポニーテールだが、三角巾を頭にかぶせているため、今はポニーテールと言うよりも、むしろ一本結びと言ったほうが良いかも知れない。
普段のこの時間であれば忙しい古川であったが、夏休み中ということもあり、比較的暇そうにしている。
牧石は、古川に尋ねた。
「古川さん。
小早川さんはお休みですか?」
「辞めたよ」
古川は、簡潔に答える。
「えっ……」
「店を出すために、修行すると言っていたわね」
古川は、たんたんと答える。
「そうですか」
「うらやましいわね、婚約者が開店資金を全額出してくれるなんて」
古川は、本当にうらやましそうな声で話す。
「婚約者?」
「知らなかったの?
来年の6月に結婚するって。
相手は、大地主様よ」
古川はため息をつきながら、サイキックシティ再開発のときに生み出された資産家たちの別名を言った。
「そうですか」
牧石は、胸の中にある様々な思いを、一言で示した。
測定検査が終わると、牧石を除いた三人は先に研究所を後にした。
牧石は三人を見送ったときに、
「牧石さん、気を落とさないでください」
「啓也くん、がんばってね」
「牧石。
まあ、あきらめるな。
いつか良い日がくる……かも知れない」
と、三人から温かい言葉を贈られた。
牧石は、三人の言葉に肩をふるわせながら、第4研究室に立ち寄った。
「ただいま、閉鎖中です。
ご用の方は事務局まで」
入り口の扉に記載されていた。
「……。
もう、ここには僕の居場所などないのだな」
牧石は、少しだけ寂しそうな表情をして、研究所を後にした。
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