第3話 サイサロン
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「僕は、『エスパーありま』です。
もしかしたら、君は牧石さんじゃないの?」
牧石は話しかけてきた男に対して不躾だとおもいながらも、「そうだ」と返事する。
それにしても、牧石はどうして自分の名前が「エスパーありま」と名乗る初対面の男に知られているのか不審に思った。
「やっぱりね!
実は、磯嶋から牧石さんのことはよく聞いているよ。
かなり素質があるってね」
どうやら、磯嶋と「エスパーありま」とは、面識があるようだ。
いったいどんな関係なのだろうかと考えていると、「エスパーありま」はポケットからスプーンを取り出してきた。
「ところで、牧石さんの名刺がわりにスプーンを曲げて見せてよ?」
「エスパーありま」は、牧石に対して目を輝かせてお願いしてきた。
「ああ」
牧石は、「ありま」の頼みを断りきれず、スプーン曲げを行うことにした。
超能力といえば、スプーン曲げと言われるようになったのは、いつの頃からだろうか。
スプーン曲げは、難易度が低いことから、多くの超能力者によって力を見せるのにふさわしいとともに、超能力がつかえない人たちにとっても、手品で実演しやすい演目であるともいえる。
もっとも、手品防止用のスプーンも存在し、「エスパーありま」が牧石に手渡したものもそのひとつである。
牧石にとっては、「鉄の菜箸でもいいんじゃないの」などと考えているが、超能力の開発史をひもとけばスプーン曲げが一般的になった理由がわかると、昔磯嶋が教えてくれた。
『牧石。
ぐだぐだ考えずに、さっさと見せなさい!』
黒井は牧石に注意する。
「ああ、そうだな」
牧石はスプーンを右手に握ると、精神を落ち着かせた。
牧石が訓練により身につけた超能力であれば、スプーンを曲げるだけでなく、別のこともできるのだが、とある理由から曲げることしかしない。
牧石は、意識を落ち着かせて、目の前のスプーンを曲げることに意識を集中する。
曲げるというイメージを強く持ち、その意識をスプーンにゆっくりと力強く送ってゆく。
「!」
牧石が、力を送るとすぐにスプーンは内側に曲がってゆく。
牧石は、スプーンが曲がっていることを確認すると、「エスパーありま」に手渡す。
「すごいね!
つよいバイブレーションを感じるよ!」
「エスパーありま」は、牧石が曲げたスプーンを確認しながら賞賛の声をあげる。
牧石が使用した念力の質の高さに驚いているようだ。
「牧石。
どうして、ねじ曲げなかった?
牧石ならできるだろう」
黒井は、牧石に問いただす。
「確かにできるのはできるけど、そのあとのことを考えるとね」
牧石は、心の中で目黒に答えると、
「すいません。
もういちど、先ほどのスプーンをお借りできますか?」
と、牧
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