暁 〜小説投稿サイト〜
とある誤解の超能力者(マインドシーカー)
レベル4 めぐろ の いもうと
第1話 飛行船
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なお辞儀をした。


「……ああ、よろしく」
牧石は、返事を返しながら、
「黒井?」
と思わず口に出した。

と、同時に牧石はかつて目黒から自分の置かれた家庭環境が複雑であることを一度聞かされたことを思い出し、後悔した。

が、黒井真惟はうれしそうな表情で、
「だから、お兄ちゃんでありながら、結婚もできるのよ、牧石さん」
と、返事を返す。

だが、牧石は黒井の返事が自分に対して行われたものではないことを知る。
黒井が滝山と樫倉に対して、挑発的な目つきをし、それを受けた二人は「受けて立つ!」という状況であった。


「……この状況を、どうやって収拾すればいいのだよ……」
と、牧石は途方にくれていた。

迫川と福西については放っていても問題ないだろう。
すでに二人は、携帯電話から今日のイベント情報を確認しあっている。

目黒は、楽しそうな表情をしている。
どうやら、一人で遊園地という状況から逃れたことに安堵したようだ。
だが、三人に囲まれた修羅場の中心地にいることを、目黒は理解していないようだった。


牧石は、現実回避をするために、先ほど思った疑問点について、
「どうして、真惟ちゃんは、僕の名前を知っているのだ?
ああ、目黒が僕の事を話したのか?」
と、目黒に確認を求める。

「いいや」
目黒は否定し、
『牧石。
お前の心を読んだだけだ』
黒井も否定する。
「なに!」
だが、牧石は黒井から伝えられたテレパシーの内容に驚愕する。

『牧石、騒ぐな。
お前の考えはわかっている。
そこの樫倉とやらの約束を果たしたいのだろう?』
「あ、ああ……」

『安心しろ、牧石。
今日は、ただの顔見せだ。
兄の前で、ガツガツする姿を見せるつもりはない』
黒井は、牧石を諭すようにメッセージを送ったが、
「そ、そうですか」
牧石は黒井に、不安そうな表情を向ける。

『だから、感謝しろ牧石』
黒井は、目黒に向き直ると、
「今日が期限の飛行船のペア優待券をもらったので、お兄ちゃんといきたかったんだ。
ごめんねお兄ちゃん」
黒井は、少しだけ困った表情で目黒に謝る。
「なんだ、それなら前もって教えてくれたら……」

「券は、昨日もらったから」
「そうか」
目黒は黒井が言った言葉に、頷いた。

「でも、お兄ちゃんとじゃないのは残念だけど、余っているこの人を借りるね」
黒井は目黒を捕まえる。

周囲は、突然の黒井の行動に困惑する。
「え、ええっと?」
「それでは、みなさん楽しんでください」

牧石は、黒井に背中を押されるように、近くの飛行船乗り場に向かっていった。
「牧石、真惟を頼んだぞ!」
と、目黒が叫んでいた。


「……、まさかあんなに高
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