第7話 終業式
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、遊園地にいかないか?」
牧石は、話題を変えることにした。
せっかく三人がそろったことから、樫倉の約束を果たそうとしたのだ。
「ああ、確か日曜日なら問題ない」
「よかったな、樫倉さん」
牧石は、喜びの表情で樫倉に視線を移す。
「何で、俺たちが遊ぶと、委員長が喜ぶのだ?」
目黒が不思議そうな表情で牧石に質問する。
「それは、樫倉さんが、……。
樫倉さんが大勢の方がいいから?」
牧石は、話している途中で、背後からの強いプレッシャーを受け、言い直した。
「どうして、疑問系なのだ。
まあ、知らない人でもないから問題ないが、俺一人が浮くようなことはないよな?」
目黒が牧石に質問する。
「……」
牧石は、3人で遊べば自分が浮くことを想像したことで、悲しい表情を浮かべる。
「そういうことか……」
目黒は牧石が悲しい表情を見せたことで、自分が一人だけになることを本当に考えた。
「そ、そうじゃない。
それなら、福西や迫川も呼ぼう」
牧石は、人数を増やすことで、自分の疎外感を和らげようとした。
「カップル二組に、俺だけ余ると?」
目黒が牧石に追及する。
「……」
牧石は、自分が五人グループの中で一人だけ浮く状況を想像し、さらに落ち込む。
「ひとりで観覧車に乗れと?」
目黒が牧石に対する追及の手をゆるめない。
「……」
牧石は、自分一人で観覧車に乗ることを想像し、さらに悲しくなった。
「まあ、牧石と委員長がそこまで言うのなら乗ってやろう、観覧車でも何にでも!」
目黒は、あきらめた表情で牧石に承諾の返事をした。
「……」
樫倉は、顔を赤くして喜んでいた。
「……」
牧石は、一人だけ空気が違う状況になることを想像し、寂しさを募らせた。
樫倉も目黒も妙なテンションでそれぞれ教室を出ると、牧石は安堵の表情をみせる。
「どうして、樫倉さんは目黒と一緒に帰らないの?
せっかく、用事があるので先に帰ってくれと言って気をきかせたのに」
と、ぼやくことは忘れない。
「まさか、携帯電話を忘れてくるとは思わなかったけど、二人がメール交換をしたのは、地味に良いアシストをしたかな?」
と、牧石は自分の失敗を都合良く解釈した。
牧石は樫倉との約束を果たしたことから、余裕の笑みをみせている。
しかし牧石は、これから行うことを考えて、すぐに表情を引き締める。
牧石は、クラスで一人だけ残っている、黒岩に視線を移した。
黒岩は、SHR開始時点から全くといっても過言ではないほど、体が動いていなかった。
まっすぐに、正面を向いている。
後ろからなのでわからないが、おそらく無表情のままだろう。
黒岩さんはなぜ学校に残っているのだろうか
と牧石は考えたが、牧石にはわからなかった。
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