第6話 追及
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羽来は声のした方向に振り返ると、学校の講堂に本来いるべきはずの少年が目の前に迫ってきていた。
「待て、羽来!」
目黒は、受付に向かおうとする男に叫んでいた。
「?」
牧石は目黒が向かっている先の男を視認すると、疑問符が頭の上に発生する。
「瑞穂ではないのか?」
牧石は自分が早とちりしたことに気づく。
冷静に考えれば、別世界にいる瑞穂がこの世界にいることはあり得ないし、もしあったとしても、サイキックシティで瑞穂と目黒とが顔を合わせる接点もあるとは思えない。
牧石は、自分の心にある怒りのエネルギーが急速に下がっていくことを感じながら、目黒と羽来のもとへゆっくりと近づいていった。
「なんとか間に合いましたよ、羽来先生」
「教え子でもない相手に、先生と呼ばれる筋合いはないね」
羽来は、目黒の皮肉にあふれた声を冷静にかわした。
「余裕でいられるのも、今のうちです。
牧石、この男に解約を要求するのだ。
君が契約書を受け取ってから、8日は経過していないはずだ。
クーリングオフの権限を、この場で行使するのだ!」
目黒は牧石に視線を移した。
「契約?
なんのことだ?」
「牧石、今は冗談を言っている余裕はない。
投資信託の申し込みをしたのだろう?」
「目黒、その話を誰から聞いたのかは知らないが、契約は結んでいないぞ」
「なんだって」
目黒が驚愕の表情をしていた。
目黒は、知り合いの女子生徒が投資信託の話をしているのを聞いて不審におもい、調査を行っていた。
その結果、牧石と羽来がファミレスで会話をしていたことを知った。
そして、タクシーの中で交わした牧石との会話と牧石の表情から、羽来と契約し詐欺にあったと確信していたが、違っていたようだ。
目黒は、羽来に自分の目的を看破されることを恐れるあまり、牧石との接触を控えていたことが裏目に出たことを理解した。
どうして、牧石が復讐鬼の表情をしていたのかはわからないが、きちんと牧石と話をすれば、タクシーの中で戦術の変更をとることもできたのだ。
牧石は、苦悶の表情を見せる目黒を珍しそうにながめながら、話しかける。
「目黒、お前が何を考えているのかは、後で問いつめるとして、この情報が役に立つかい?」
牧石は、自分の携帯を取り出すと、ボタンを操作して、音声を流し始めた。
「それは……」
「投資契約に関するやりとりを記憶したものだ。
こんなこともあろうかと、携帯電話のマニュアルを読んでおいて良かったよ」
携帯から流れる音声は、ファミレスでのやりとりであった。
牧石は、以前瑞穂からの会話で、詐欺から身を守るための方法について、レクチャーを受けていた。
そして、会話のやりとりをきちんと残すことについても指導を
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