第2話 力の可能性
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ことだ」
牧石はつぶやいた。
「そうですね。
今の牧石君は、レベル2ですから関係ありません。
ですが、今の製造技術では透視対策及び読心対策等はレベル5までしか対応していません。
たとえば、サイマスターレベルなら覗き放題です」
「なんだと」
牧石は、先日あった坊主に文句を言う。
「あの男はそんな事を、やっていたのか……」
「していませんよ、グルーさんなら」
磯嶋は、牧石の言葉を否定した。
「どうして、そんなことが断言できる」
「グルーさんは一日のほとんどを、自宅で過ごしているからです。
予知能力を使用するために」
磯嶋はまじめな顔をした。
「グルーさんの予知能力のおかげで、超能力と呼ばれる力が市民権を確保しました。
そして、彼の予言によって多くの命が救われました。
牧石君。
君がグルーさんにどのような感情を抱いてもかまいません。
ただ、彼がいなければ、今の自分は存在していないと思っている人が多くいることだけは、覚えていてください……」
「……」
磯嶋と牧石のあいだに、しんみりとした雰囲気が漂った。
「……。
磯嶋さん、勉強になりました。
ありがとうございました」
牧石は、磯嶋に礼を言うと、研究室を退室した。
牧石は、疲れが貯まっていた。
部屋に残された磯嶋は、机の引き出しから写真を取りだすと、悲しみの表情で写真を眺めていた。
自室に戻った牧石は、今後の事を考えていた。
牧石は、高校に編入したことと、サイレベルが上昇したことにより、サイキックシティから支給される給付金が増額したおかげで、当面の生活費には不自由しなくなった。
ただし、研究所での無料の宿泊所の提供と食事の提供があることが前提である。
完全に独立した生活を送ることを考えるのであれば、賃貸住宅の頭金や、家事をろくにしたことのない牧石の食費を考えると、十分な給付金額ではない。
たとえば、スプーン曲げ用のスプーンなどは、磯嶋の研究室から借りたことにして、又借りして練習している。
牧石は「スプーン曲げ程度なら、誰でも出来るのでは?」と思ったのだが、レベルに応じたスプーンがあるということで、このサイキックシティでは、スプーン曲げは挨拶代わりになっているようだ。
磯嶋の様々な好意は、元の世界に戻ることを考えている牧石にとって、感謝しているが、同時に頼りすぎるのも良くないとも牧石は考えていた。
だからと言って、アルバイトを行ってまで生活費を稼ぐのは、元の世界に戻るまでの時間が延びることになり、本末転倒である。
「あとは、早くレベルをあげることか……」
レベルがあがることにより、給付金の金額が増額する。
またサイキックシティ内での施設等の利用料金も割引され、レベルが上がることで割引幅も大
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