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とある誤解の超能力者(マインドシーカー)
第6話 グルー
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ーが、牧石の行動を予知したり、牧石の思考を読みとったりしたのならば、この世界にとって牧石がどういった存在であるかも、この世界が虚構の世界であるという事実を知ることも可能だ。

もしグルーがその事実を公言したらどうなるのだろうか。
グルーの予言とその正確性は多くの人が知っていた。
たとえ、普通には信じられないことでも、多くの人がその内容を信じて行動に移すだろう。

現に政府は、グルーの予言を信じてエネルギー政策を転換した。
もちろん転換がスムーズに行われた背景には、サイキックシティの市長が、代替エネルギーの技術提供と廃炉費用支援交付金という名の税金投入が行われた事もある。

「牧石さん。
心配は不要だ。
事実を公表した場合に生じる影響は、私が望むことではない。
もし、公表するつもりなら、既に公表したはずだ」
グルーは静かに牧石を諭すように話しかけた。
「さあ、君がこの先に進みたいのなら力を見せるがいい」
そう言ってグルーは、視線を三叉路に移す。
三叉路に続く道は左右を白い塀が存在しているため、その先の道路の状況を確認することが出来なかった。

「これから、64秒後に目の前を車が通過する。
その車の色を当てなさい。
制限時間は50秒だ」

牧石はグルーの言葉を聞き終わったとたんに、真剣に頭を回転させる。


まず、現状を確認する。
これは、瑞穂からたたき込まれたことだ。
現在、編入試験を受けるため、全速力で走ってきたが、グルーにより足止めを受けている。
グルーの言葉を信じるならば、この先に進むためには、グルーの質問に正しい答えを出さなくてはならない。
失敗すれば、おそらく別の質問をするだろう。


「あと40秒」
成功して、再び全力疾走したとしても、少し遅刻する程度で済むだろう。
もし、失敗すれば受験すること自体できなくなるだろう。
それだけは、避けなければならない。
おそらく、「グルーに邪魔されて遅刻した」という言い訳は通用しないだろうから。


「あと30秒」
ならば、目の前の問題を片づける必要がある。
どの色の車が通るかを当てること。
これは、牧石が卒業試験の際に使用した方法を封じる方法としては適切である。
なぜならば、牧石が卒業試験に使用した方法はいわゆる消去法であり、限られた選択肢の中から違うものを選び出すものである。


「あと20秒」
しかしながら、無数にある選択肢の中から消去法で消すやり方は限られた時間で答える方法としては、ふさわしくない。
「それだったら、「これだけは絶対にありえない」というものを一つ選ぶようにすればいいのではないか?」と思うかもしれないが、
以前の能力実証の時に、その手段は使用できないことが明らかになっている。


「あと1
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