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とある誤解の超能力者(マインドシーカー)
第5話 予感
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言わなければならない。
そのためには、はやくサイレベルをあげて神のレベルに到達しなければならない。
ここで立ち止まることは許されなかった。

「そう、牧石君には厳しい選択になるかもしれない。
何らかの理由によって使ってしまうことになったらこれまでの苦労はすべて失うことになる。
それでもいいの?」
「ええ、問題ありません。
だいいち、僕の力はコンピューターでの試験でしか通用しませんでしたから」
「通用しない?」
「ええ、試験が終わったあとで自室においてあったものを念力で動かそうとしたのですが無理でしたから」
「……そうなの」
「ええ、そうです」

「牧石君!」
磯嶋は、牧石に顔を近づけた。
「な、なんですか?」
「どうして、私に知らせなかったの!」
「えっ?」
「そんなおもしろい話、自分の胸にだけとどめるなんて!
判っていたら実験に協力してもらったのに。
ひどいわ、ひどいわ!」

「……。
ええと、ごめんなさい?」

「どうして、疑問型なの。
これから、実験の準備をするから、それまでは、そこで座って反省しなさい!」
「は、はい!」
牧石は、その日1日磯嶋の研究につきあわされることになった。



「さすがに、サイポイントも上昇しなくなったか」
牧石は、自分のサイカードを確認する。
サイカードには「LV:01 PSI:000250」と記されている。
最初の頃は、あまり上昇しなかったが、目黒たちと話をした後から急上昇した。
それも、200ポイントあたりから上昇は鈍くなり、260ポイントに到達してからは上昇することはなくなった。

磯嶋が牧石にした話では、300ポイントで次のレベルに上昇するらしいのだが、その手前で足止めを食らったことになる。
それでも、わずか一週間でここまで成長したこと自体は素晴らしいことも磯嶋から聞いていた。
ちなみに、編入試験では、超能力の実技試験はレベル1以下が対象であり、レベル2以上であれば実技試験を免除の上、高い評価をもらえるため、受験生にとって非常に有利となる。


「まあ、訓練だけでレベルがあがるほど、そう簡単には出来ていないということか」
牧石は、自らの考えを口にすると首を左右にする。
「そろそろ、勉強に戻るか。
最近ははかどっているけど、寝不足になるのが玉にきずだな」
牧石は、テーブルに広げられた迫川のノートを手に取ると、「第3話 等速直線運動と消しゴム」のページを開いた。

「信じられるか、これ1時間で仕上げたんだぜ……」
迫川のノートを眺めたときにつぶやいた目黒の言葉が、耳から離れなかった。
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