第4話 贈り物
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をついて他の書類を見た。
「第1期編入試験問題「数1」だと?」
「ああ、知り合いに頼んで、ちょうど1年前のあの日に編入試験を受けた人から問題集を譲ってもらった」
「ありがとう」
牧石は素直に感謝の言葉を述べた。
「じゃあ、今度は私の番ね!」
迫川が大きめの手提げ袋を重そうにテーブルの上に置いた。
「……。うぁ」
牧石は、その量の多さに唖然とする。
迫川が牧石の為に用意したのは、学校の授業で受けた内容のノートであった。
しかし、1学期の中盤という時期にあってノートの枚数は20冊を越えていた。
「どれどれ、……」
牧石は一番手前にある熊のイラストが表紙のノート「国語1」を広げてみた。
「!」
牧石は、ノートの内容に驚愕した。
「第1話 始まりの日」
校舎のそばに咲く桜の木を背景にしたタイトル。
次のコマは、外から見た教室の風景。
その次のコマは、教壇の中央に立つ少し年配の教師の姿。
牧石が読み進めたノートは、最初の授業を題材にした16ページの読み切りマンガになっていた。
ページの最期には、次回予告と「最近ゲートボールにはまっている、さこたん先生に励ましのお便りを!」と記載されている内容を見て思わずノートを持つ手が震えた。
「さすが迫川、相変わらず構成が上手いな」
ノートを牧石の背後からのぞき込んで眺めていた、目黒から賞賛の声がでた。
「珍しいわね、目黒くんが私のことを褒めるなんて。
でも、おだてても何も出ないから」
「ああ、わかっているさ。そんなことくらい」
目黒はいつもの調子で答えていた。
「……」
牧石は、衝撃で何も言えなかった。
「啓也くん。
これ、私だと思って大事に使ってね……」
迫川は、鋭い目つきが特徴の鋼鉄ウサギがかかれたイラストが表紙のノートを牧石に手渡した。
「……。あ、ああ」
「よかったな、牧石」
目黒が嬉しそうな顔で祝福した。
「牧石」
これまで、じっと話を聞いていた福西が突然立ち上がった。
牧石は、自分と迫川とのやりとりに腹を立てたのかと思った。
福西が続けた言葉は、
「俺には何かくれないのか?」
という言葉だった。
「……」
牧石は、しばらく考えたが福西の言葉の意味が分からなかった。
「……。
なぜ?」
牧石は、あきらめて本人に言葉の意味を確認することにした。
「もらってばかりだと、バランスがくずれるので誰かにあげた方がいいと思ったから」
「どうして、今ここでバランスをとる必要がある?」
牧石は納得できる答えが得られるのか心配しながら質問した。
「うちゅうはバランスのみだ。
そこに深さとしてのリズムがある」
「?」
牧石は顔全体でわからないという表情をした。
「最期の
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