第11話 卒業
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も、正解しなかったのね。
そのような能力が存在するなんて……」
だが磯嶋は、牧石の能力が破格すぎることを考え、実際に試験に立ち会ったにもかかわらず素直に納得することができなかった。
牧石の説明が終わるころには、2人は研究所の外にでていた。
「曇り空ですね」
「最近は暑かったから、これくらいのほうがいいわ」
磯嶋が牧石をつれてきた駐車場には、白いスポーツカーが止まっていた。
磯嶋が車のキーを操作すると、左右のドアが上昇する。
「ガルウイングドアですか?」
「シザードアと言うらしいけど、よく知らないわ」
「どこの外車ですか?」
曲線を多用した形状で、国外の車だろうと牧石は推測する。
「日本製よ。
ドアの開閉部分は改造されていたけど、他の部分はいじれれてないそうよ。
ロータリーエンジンを積んでいるのが変わっている所かしらね?」
磯嶋は、車のエンジンを入れると、車は独特の音を発した。
確かに、周辺を走っている車とは違う音だった。
「そうですか」
あまり車に詳しくない牧石は、てきとうに相づちを打って車内に乗り込む。
「ゆっくりと加速しますね」
ロータリーエンジン特有のエンジン音をバックにして、牧石は磯嶋に話しかける。
「人を乗せる時は、本気で走らないから」
磯嶋の車は、車の流れに沿って走っていた。
「牧石君、これからどうするの?」
「そうですね、訓練ばっかりの毎日でしたので、しばらくはこの街の生活になれるために、ゆっくりしたいですね」
牧石は、窓の外の景色を眺めながら、磯嶋に答える。
牧石は、転生特典により、とある財団から生活費が支給されるようになっていた。
遊んで暮らす訳にはいかないが、しばらくは気ままな生活を満喫したい。
無駄遣いしなければ、生活には困らないはずだ。
牧石は、車の窓から、空に浮かぶ巨大な物体を発見する。
「飛行船ですね」
「牧石君にとっては、珍しいかもしれないわね。
日本ではここぐらいでしか、見かけられないでしょうから」
牧石は飛行船から発信されたニュースを眺めていた。
「一般財団法人かしわば、役員の横領により解散に追い込まれる。
奨学金制度も廃止の予定。
ただし、サイキックシティ内での影響は限定的の模様」
このニュースが、神様からの転生特典の一つが受けられなくなるニュースであったと牧石が知るのは、もうしばらく先のことだった。
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