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とある誤解の超能力者(マインドシーカー)
第11話 卒業
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ごい能力を隠していることになるのだが?」
北川副所長と呼ばれた男は、先ほどの試験結果を確認すると、天野に対して皮肉を言った。

「……」
「天野研究員は、私と牧石が何らかの細工を行って、このような成績を改竄したと考えているようです」
急に押し黙った天野をみながら磯嶋が、先ほど天野が叫んでいた内容を北川につたえる。

「それは、すごい!」
磯嶋の説明を聞いた北川は、大げさな身振りと共に叫び声をあげる。
「卒業試験の改竄!
このコンピュータールームで改竄を行うためには、どれだけの能力が必要なのか知っていての発言か?
それならば、全問正解以上の能力、神に到達するレベルでもなければ無理な話だ。
それほどの能力者を前にして、天野君は満足していないのか。
天野君の目指す研究は、我々の想像を遙かに越えるようだね!」
北川は最大級の皮肉をはき出す。

北川は、視線を天野に向ける。
「天野君、先ほど所長から伝言があってね。
「最近、休暇を取っていないようだから、3ヶ月ほど休んだ方がいい」という事だ。
サイキックシティからは出られないだろうが、しばらく休んだほうが良さそうだ」

北川の言葉に、天野は初めて返事をする。
「副所長。
私は、まだやれます!
私がいなければ、あのプロジェクトが進みません」

「大丈夫だよ、天野君。
君のプロジェクトは中止だから」
「え……」
天野は言葉を詰まらせる。
「いやあ、君のプロジェクトは、ダミープロジェクトにふさわしい内容だったよ。
おかげで、外部の目を欺くことができたよ」
「な、なんだって!?」
天野は目を白黒させていた。

「というわけで、天野君ゆっくりと休暇を味わうといい」
北川は、背後にいた男たちに視線を向けると、男たちは天野を拘束してコンピュータールームから退出した。


部屋が静かになると、北川が牧石に話しかけてきた。
「はじめまして、牧石君」
「は、はじめまして」
牧石は、北川が差し出した右手をつかんだ。
「とりあえず、卒業おめでとう」
「ありがとうございます」

「とりあえず、と言ったのは、卒業することが目的ではないからだ。
人生の目的だとしても、超能力の目的だとしても、ここはあくまでも通過点の一つにすぎないのだ。
君ならわかるだろう?」
「はい」
牧石はゆっくりとうなづく。
どうやら、牧石の敵ではないようだ。

「遅くなったが、正式に君はこの街の住民になった。これが君の身分証明書だ」
「いただきます」
牧石は、銀色のカードを受け取った。
カードには、円と楕円と小さな三角が組合わさった模様が記されており、「マキイシ ケイヤ」と刻印されていた。

「そのカードは、超能力に反応するようになっている。試しに念力の要領で、
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