第8話 運命の出会い
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向かい側に座る。
「お邪魔しまーす」
小柄な少女が、元気よくその隣に座る。
「じゃあ、俺はここだな」
黒縁の眼鏡をかけた少年は、牧石の隣にすわった。
「どうして、ここに座ったのだ?」
牧石は、長身の男に質問した。
「立ちっぱなしで食べるほど、器用でもないし、そのような能力も持っていないのでね」
「……」
牧石は、微妙に違うベクトルの回答をする長身の男に「天然さん?」という名の第一印象
を持った。
「せっかくなので、自己紹介をしよう」
長身の男は、牧石の沈黙を無視して、牧石が食べていた「煮魚定食」と同じメニューを目の前に置いて、話を始めた。
「俺の名前は、福西暁だ」
つぎに、牧石の隣にすわっていた眼鏡をかけた少年が「カツカレー(大盛り)」の前にスプーンを置いて、
「目黒修司だ」
最後に、牧石の斜め前にいる、「日替わり定食(ご飯少な目)」の味噌汁の上に箸をおいた少女が、牧石の手を両手でしっかりと握りながら、上目遣いで、
「迫川真菜なの。
よろしくね」
と言ってきた。
「あ、ああ、よろしく。
僕は牧石啓也だ」
「啓也くんか〜。
よろしくね」
迫川は牧石の手を握ったまま、軽く腕を上下させながらウインクする。
とたんに、牧石の顔が赤くなった。
「牧石君。
残念なお知らせを、最初に言っておくよ」
牧石の隣にいた目黒が、左肘で牧石につつきながら、説明を始めた。
いつの間にか、眼鏡をはずしていた。
どうやら、カツカレーの熱で眼鏡が曇ったようだ。
「迫川は、暁とつきあっているよ」
「……、そ、そうなのか?」
「事実だ」
福西は黙々と魚をつつきながら答える。
「暁くん。
もうちょっと嬉しそうに答えなさいよ!」
迫川は、福西の答えに不満そうに頬を膨らませる。
それが、牧石にとって非常に魅力的に映ったが、彼女は福西とつきあっている事実を前にしてうなだれるしかなかった。
「……まあ、なんだ、がんばれよ少年」
目黒は、「お前の気持ちはよくわかる」といったなれなれしい顔をしていたが、不思議と嫌悪感はなかった。
むしろ、苦楽を共にした戦友のような印象をもった。
「目黒君。君もか」
「いんや。
暁とは幼稚園の時からの腐れ縁でな。
最初っからこんな感じだったから、地雷は踏まなかったよ」
「何という幸運……」
牧石は、目黒の幸運をうらやんだ。
牧石は、食事をしながら福西と迫川がつきあったきっかけを聞いて、「リア充爆発しろ」と心のなかで3回ほどつぶやいてから、質問する。
「ところで君たちは、どうしてここにいるの?」
「昼食を取るために。
詳細に説明を求めるのであ
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