第5話 超能力の理論について
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在していたが、牧石がみる円柱には誰もいない。
そもそも、自分のような怪しい存在と面会することなどありえない。
その代わりに、緑色の透明な液体の中心には、白い三角柱があり、それはゆっくりと反時計回りに回転してた。
牧石はそれを眺めて、ふと「とある」世界に登場していたものを思い出す。
「とある」の世界では、「AIM拡散力場」と呼ばれる超能力者が無意識のうちに発生させる小さなフィールドが存在する。
そのフィールドにより構成された存在が、「とある」の世界にいたが、その存在の核となる部分もこの円柱と同じように三角柱の構造をしていた。
ただし、それは光り輝いていたが。
「こんなところにあるわけないか」
牧石は即座に首を横に振って、自分の考えを否定した。
であれば、この円柱は一体何だろうと、考えてみた。
「となると、これがコンピューターなのか?」
牧石は、小さくつぶやいて、円柱の周囲を見渡す。
円柱の周囲には、円卓上のテーブルと椅子が用意されている。
一方で、テーブルには一つだけ、操作パネルのようなものが置かれていたが、肝心なディスプレイと思われるものが存在しない。
となると、何らかの理由で、コンピューターが撤去されたけれども、コンピュータールームという名称は何らかの形で残ったと、牧石は考えた。
それでも、中央に鎮座する円柱上の存在がわからなかったが。
牧石の思考では、目の前の存在が、コンピュータとは思わなかった。
無理して見れば、1980年代にミネアポリスに本社があったスーパーコンピューター製造会社が作った製品に少しだけ似ているが、そんな昔のコンピュータを利用する必要性を感じない。
そもそも、CPUの性能だけで言えば、自分が転生する前に家族で使用しているパソコンの方が上なのだから。
そのようなことを、牧石が考えていると、背後から女性の声がした。
「おはよう、牧石君」
牧石を出迎えたのは、当面の被保護者である磯嶋であった。
いつものように、白衣を着ての登場だが、
「?」
「どうしたの、牧石君?」
「いえ、何でもないです」
「遠慮することないわよ」
「いえ、そんなことはないです」
牧石は、心配そうにのぞき込む磯嶋になんでも無い表情をしたが、実際には疑問でいっぱいだった。
磯嶋は白衣の下に白地に濃紺の野球のユニフォームをまとっていた。
背中にはかすかに20という数字が見える。
前世では広島に本拠地を置いていた球団のユニフォームだったが、「とある世界」で野球のチームがどうなっていたかという描写がされていなかったので、黙っていることにする。
万一、違っていたら変に思われるだろう。
ひょっとしたら、磯嶋が身につけているものは野球のユニフォームではなくて、ベースボーノ
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