8話
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なところにいるのか一瞬思い出せなかった。
何か嫌な夢を見ていたような気がするがそれも思い出せない。
頭を振って額に手を当てて落ち着くと今までのことを思い出してきた。
警察学校を卒業して共和国にいるおじさんに挨拶して荷物を送って大陸横断鉄道に乗って、それから寝てしまったんだ。
「あなた、大丈夫?酷くうなされいたようだけど」
状況を把握していると目の前の座席にいる老夫婦が心配そうにこちらを伺っていた。
「えっと、いえ寝不足だったもので大丈夫です」
老婦人はまだ眠そうなロイドに頭がすっきりするからと水筒に入れられた冷たいレモネードを渡してきたのでロイドはありがたくいただくと頭にキーンとした。
「おいしかったです。眠気が吹き飛びました」
お礼を言った礼儀正しさから老夫婦とちょっとした談笑が始まった。
「ほう、やはりクロスベル人か。3年ぶりじゃ今のクロスベルに驚くかも知れんぞ」
老夫婦は共和国を旅行した帰りとのことでこれからクロスベルに帰るところだという。
ロイドは噂話でも近況を知っておきたいので、故郷の話に耳を傾けた。
「不戦条約以来の安定から金融の加速から投資物件としていろいろと建てられてるのじゃよ。いろいろと様変わりしとるよ」
「そうですか。でも故郷はどうなっても故郷ですから」
「ほお、若いのにわかっとるな。それに引き換え政治家共は利権争いばかりで、マクダエル市長ぐらいしか信用ならんよ」
よほど政治への不満が溜まっているのか憤慨を露わにして御主人は奥さんにたしなめられていた。
「でもクロスベルタイムズは取り寄せていたけどやはり直接聞かないとわからないことは多いですね」
クロスベルタイムズは過去にフューリッツア賞を取ったとかでクロスベルでもっとも権威のある雑誌でもっとも発行部数も多い。
そうこうしていると車掌の到着アナウンスが流される。定期飛行船への乗り換え案内と帝国へ行くなら臨検がある旨が告げられた。
「帝国人の顔など見たくもない。さっさと支度しよう」
支度し始める老夫婦を横目にロイドは一枚の写真を取り出した。
3年前に、ガイとセシルが婚約した時に一緒に撮った、家族で一緒に撮った最後の写真。まだ弱弱しい背の低い自分が写っている。
(兄貴、セシル姉、俺、やっと帰ってきたよ。みんなと過ごしたクロスベルに)
ロイドは気持ちを新たにクロスベル市に戻ってきた。それは兄の死後、3年ぶりのことだった。
クロスベル市。クロスベル自治州の人口の8割がここに集中するとも言われる巨大国際貿易都市。
その駅もまた巨大なものだった。規模では鉄道の国とも言われるエレボニア帝国帝都ヘイムダルのターミナル駅には負けるものの、完成から20年、紛争時以外では休
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