第107話:当直生活
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と、数人が艦橋に入ってくる。
「あ、副部隊長じゃないですか。おはようございます」
背後から声を掛けられて振り返ると、ルキノが立っていた。
「おはよう。ルキノも当直か」
「そうですよ。副部隊長みたいに3日連続じゃないですけどね」
「・・・言うな。気持ちが折れるから」
「この時期にまとまった休みを取ったらそうなりますって。自業自得ですよ」
「やかましい。さっさと仕事しろ」
「はーい、了解です」
ルキノが自分の席に戻ったところで、はやてがつかつかとやってくる。
「お待たせや。引き継ぎやろっか」
俺が頷くと、はやてはくるっと向きを変えて艦橋を出る。
はやての背中を追って、副長室の隣にある艦長室に入ると、
俺はソファに腰を下ろした。
「ほんなら、とりあえず当直の引き継ぎやね」
はやてはそう言いながら俺の向かいに腰をおろし、
端末を開いて何かを確認する。
「まぁ、引き継ぎっていうほど引き継ぎ事項なんかあらへんけどね」
はやてはそう言いながらも、律義に配置人員や直近2日間の出来事などの
連絡事項を淡々と述べていく。
「・・・っちゅうとこやね。質問はある?」
「いや、大丈夫だ」
「ほんなら、3日間頼むで」
「了解」
そう言ってはやてに向かって頷くと、俺はソファから腰を上げようとした。
「あ、ゴメン。まだ話は終わりやないねん」
はやてがそう言って俺を引きとめるので、浮かせた腰を
もう一度ソファに降ろす。
「なんだよ? 引き継ぎは終わりだろ」
「引き継ぎやなくて、人事の話やねん。6課は3月で解散になるから
4月以降の所属を決めなあかんのは知ってるわな」
「まあな。そのための希望も出したし」
「うん。その希望がちょっと問題やねん」
はやてはそう言うと、端末に目を走らせて渋い顔をする。
「えーっと、ゲオルグくんは士官学校の教官が希望やったよね。
で、士官学校に打診してみたら二つ返事で了承してもらえたんやけどね」
「けど・・・なんだよ」
「後見人のお一人から異論が出てしもうてん。
”ゲオルグは最前線に置いてこそ役に立つ人間だから、
士官学校の教官なんて認められない”ってな」
「クロノさんか・・・。そうだろ?」
「まあ、正解や。で、私としてはゲオルグくんの意思を優先したいんやけど
士官学校の教官を希望する理由を教えてほしいねん」
「決まってるだろ。俺ももうすぐ結婚するし、子供だっている。
いつまでも最前線で戦うのはゴメンだよ。
管理局に入ってからこれまで最前線に立ち続けてきたんだから、
そろそろゆっくりさせてくれ、ってのが偽らざる俺の気持ちだ」
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