第九十話 ゲルマニア分裂
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
候の会議は続き、アルブレヒトは新たに空席になったボヘニア王を兼任することが決まった。
普通なら、ボヘニア王だった前皇帝の親族が継承を主張するのだが、アルブレヒトが先手を取って親族をことごとく監禁してしまい、この決定に異議を唱えるものはいなかった。
この決定で、アルブレヒトは票を二票手に入れ、アルブレヒトの権力は大いに増した。
他の選帝侯がなぜアルブレヒトに従順なのかは、彼の政治力による所もあるが先のハルケギニア大寒波で、食糧不足に陥った選帝侯に肥沃な領地を持つアルブレヒトが食料を提供し、代わりに自分への支持を取り付けたためでもある。
これにて、新皇帝と選帝候の会議は終了したが、新皇帝アルブレヒト3世に休息の時間はない。
アルブレヒトは新皇帝の戴冠式を自らの領地の首府であるヴィンドボナで行う為、ヴィンドボナ新たな帝都に決定した。
そして、戴冠式の招待状を各国に送ると、プラーカには5万の軍を置き、プラーカを出発帰還の徒につき他の選帝候もそれに続いた。
アルブレヒトは無能な男ではない、その智謀はハルケギニア屈指だったが、戦場の人ではなかった。
その軍事への無知が災いした。
ポラン地方の反乱を軽視し、ボヘニア地方の反乱勢力を過小評価し、優秀な守将の配置を怠った。
☆ ☆ ☆
数日後、ヴィルヘルムとゲルマニア騎士団がベルヴィンに帰還すると、アルブレヒトが皇帝に選出された情報が届いた。
当然ヴィルヘルムは大激怒、城の調度品をあちこち投げつけて怒りを爆発させた。
「軍だ! もう一度軍を編成して、プラーカを! ヴィンドボナを陥せ!」
ヴィルヘルムの部屋では、怯える家臣達を尻目にヴィルヘルムは吼えながら椅子をドアに向かって投げつける。
ドアに叩きつけられた椅子は砕け散り、散らばった椅子の欠片が辺りに散らばった。
「随分と荒れておられますね、叔父上」
椅子に叩きつけられたドアが開き、フリードリヒが入室してきた。
「フリードリヒか! 良いところに来た、すぐに騎士団とともにプラーカを陥せ!」
ヴィルヘルムは唾を吐きながら、フリードリヒに命令した。
「お言葉ですが叔父上。進軍しようにも騎士達に食べさせる食料がございません」
「何だと! それは本当か!」
ヴィルヘルムは、家臣達の方へ向くと、家臣達は申し訳なさそうに首を縦に振った。
「ですが叔父上。アルブレヒト殿と事を構えるのでしたら、先にボヘニア地方のシレージェンを取りましょう。あそこは穀倉地帯として知られております」
「ふむ、穀倉地帯を確保して、それからプラーカ、ヴィンドボナと進軍し
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ