第九十話 ゲルマニア分裂
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思ったが……」
アルブレヒトは、驚きで一度上げた腰を、再び玉座に下ろし直した。
「ヴィルヘルムもそれほど阿呆ではないという事か」
「ですが、ブランデルブルク軍はともかく、ゲルマニア騎士団までも帰還してしまったら、反乱鎮圧の兵力が不足しましょう」
それどれ発言したのは、盟友であり選帝候のザクソン公とバウァリア公で、他の選帝侯も苦い顔を押していた。
そしてもう一人、ゲルマニア騎士団の鎧を纏った青年の、計6名だけが玉座の間に立ち入る事を許されていた。
「騎士団の、名前はなんと言ったか?」
「グナウゼナイです」
グナウゼナイはゲルマニア騎士団副団長のシャルルンホルストが連絡役に派遣した騎士で、シャルルンホルストの弟子でもある。
「そう、グナウゼナイ。お前の持ってきた謀略では、ヴィルヘルムが反乱を起こせば、騎士団長のフリードリヒがヴィルヘルムを暗殺する手はずだった筈だが……」
「残念ながら、辺境伯は虎口を脱したようです」
新皇帝の前で、青年騎士はぬけぬけと語った。
「曲りなりにも皇帝の前でその発言。中々の胆力と褒めてやろう。それに元々期待はしていなかった」
玉座のアルブレヒトは、玉座の前で頭を垂れるグナウゼナイに嫌らしく言った。
「その様な小細工よりも、反乱の鎮圧に知恵を絞るべきだろう。ちがうか? 騎士殿」
「御意にございます閣下。私はお邪魔ですので、これにて失礼いたします」
グナウゼナイは一礼すると玉座の間を出て行き、これで選帝候5人だけとなった。
グナウゼナイが退室するのを見届けると、アルブレヒトは改めて各選帝侯の顔を見渡した。
「これからの策は何かあるのか?」
「策も何も、早急にポラン地方へ兵を送り、鎮圧しなければ反乱軍の規模は膨れるばかりであろう。そこで俺に兵を与えてくれ、一ヶ月で鎮圧してくる」」
ザクソン公が鎮圧軍の将軍に自ら志願してきた。
アルブレヒトは他の選帝候の出方を窺ったが、特に反対する雰囲気は無かった。
「それでは、ザクソン公に鎮圧軍の指揮を任せよう」
「謹んで拝命仕る」
かくしてポラン地方の反乱鎮圧に、ザクソン公が自ら軍を率いて乗り込む事になった。
続いてアルブレヒトは、フランケン大公にトリステインやガリアに対しての防衛策を講じるように命令を出した。
「あ、ああ……承知した」
フランケン大公は承諾したが、どうも様子がおかしい。
戦場以外では無能力者に近いフランケン大公に防衛策を講じられるか、各選帝候は不安に思ったが、
『粗方、ゾフィー大公妃に怒鳴りつけられたのだろう』
と、ゾフィーの剣幕の強さを知っていた為、それほど重要視しなかった。
選帝
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