番外2話『ローグタウンA』
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ントも吹き飛ばされる。スモーカーも別の方向へと吹き飛ばされたおかげで彼らの間にはまた距離があく。その隙を見計らって駆けてきたゾロが叫ぶ。
「走れ! 島に閉じ込められるぞ! ばかでけぇ嵐だ! ぐずぐずすんな!」
ルフィの体を引っ張り、強風を追い風に走り抜けていくゾロを、サンジとハントも追いかけて走り行く。
それを見つめる一つの影。
ローブで全身を覆ったその男が、じっと楽しそうに彼ら海賊たちを見つめていた。
どうにか出港することに成功した麦わらの一味は、今にも船がひっくり返らんばかりの嵐の中にいた。立ち位置によってはそのまま海に投げ飛ばされそうなほどに揺れる彼らの船だが、乗組員の彼らの顔はほぼ笑顔。
まるで自分たちがこの程度の嵐に負けるはずがないと信じているかのようにすら見受けられる……残念なことにそれはウソップ以外の話で、ウソップはマストへとへばりついてびびりまくっているのだが。。
とにかく、暴雨風に吹かれて、びしょ濡れになりながらも彼らの表情はまったくもって曇っていなかった。それどころか希望に満ちているのかもしれない。こんな嵐の中では太陽の光などさすはずもない。が、彼らの目には確かに一筋の光が写っていた。ふとナミがその光を指した。
「あれが導きの灯。あの光の先にグランドラインの入口がある……どうする?」
自信に満ちたその声色。返事など聞く必要がないだろうといわんばかりのナミの言葉だ。「し、しかしなにもこんな嵐の中を!」と、一人で抗議の声をあげるウソップを無視してサンジがナミの声に呼応するかのように一つの酒樽を置く。
「よっしゃ、偉大なる海に船を浮かべる進水式でもやろうか!」
これにも「おい!」と抗議の声をあげるウソップの声をやはり無視して、サンジは「オールブルーを見つけるために」と、真っ先にその酒樽に片足を乗せる。それにルフィがまずは続く。
「おれは海賊王」
続いてゾロが。
「俺ぁ大剣豪に」
次はナミ。
「私は世界地図」
あわててウソップも。
「お、おれは勇敢なる海の戦士になるためだ!」
そして、当然ハントも。
「師匠を越えるため、おまえらの夢を近くで一緒に見るために」
計6本の足がたるに乗り、誰かの合図があるでもなく、彼らの足が一斉に振り上げられて同時にそれへと振り下ろされた。たるがガコンと心地よい音とともに開かれるとともに彼らは吠える。
「行くぞ、グランドライン!」
彼らは行く。
己が夢へと突き進む。
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