番外2話『ローグタウンA』
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、いいか」
妙に楽天的に呟く。
やはりスモーカーという男を知れて嬉しいのだろうか、ナミといたときとは別の笑みを浮かべて歩き出そうとして、また足を止め、首をめぐらせる。
「……」
何秒間か、じっくりと周囲を見回して、それから彼は情けない声で呟く。
「……ナミがいない」
ハント、20歳。
まさかの迷子宣言だった。
「っとにもう」
ナミが悪態をつきながら歩いていた。
もう買い物を済ませたあとらしく、背中にはビニール袋に包まれた大量の新しい服がリュック形式で担がれている。足を止めることなく軽く首をめぐらせて、やはりハントがいないことにため息。
「……変わってないといえば……変わってないわね」
達観しているような表情で呟かれたその言葉には毒はない。妙に大人っぽいところがあれば妙に子供っぽいところもある。まさか少し早足で歩いている間にはぐれることになるとはナミ自身夢にも思っていなかった。
――興味ひかれるお店でもあったのかしら。
だったら声をかけてくれればいいのに、と思う反面、ハントのことだから声をかけることすら忘れるというのは大いにありえる話だった。
――ま、いっか。楽しくなかったわけじゃないし。
とにかくあまりハントのことを考えていても仕方がないと判断したナミは、今はそれよりも大事なことへと思考回路を切り替える。手にした気圧計を確認。
「気圧が異常に落ちていく……早く船に戻ったほうが無難かも」
それとなく足を早める。
「お」
「あ」
「ん」
ナミは買い物帰りで一緒になったウソップとサンジ。それに無事に2本の刀を入手できたゾロと再会を果たした。そこからルフィが海賊バギーに捕らえられ死刑台で首を切られそうになっているという現場に出会うという急展開が彼らを待ち受けているのだが、それは少しおいておくとして。
さて、ルフィがえらいことになっていることなど露知らないハントは完全に道を見失っていた。
「……まずい」
本来の彼はそこまで方向音痴ではない。むしろ幼いころから森の中に入っては狩りにいそしんでいたということもあって方向感覚は常人よりも働くほうだろう。
ただいかんせんナミとの買い物のときに浮かれすぎていたせで、どこから来たのかが全くもって思い出せないのだ。帰る方向そのものがわからなければさすがにどうしようもなかった。
これだけ人が多ければ見聞色で特定の人間を探す、という芸当も出来そうになく、あてのない道のりをハントは歩き続けている。
と。
突如、街のど真ん中に落雷が走り、鼓膜を突き破りそうなほどの轟音と、目を焼かんばかりの光量が島中を覆い尽くした。
「っつう」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ