番外2話『ローグタウンA』
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「悪ぃな。俺のズボンがアイスくっちまった。次ぁ5段を買うといい」
そう言って女の子へとお金を渡す。
――な……に?
それはハントにとって信じられない光景だった。
その衝撃は初めてルフィたちと会ったときのそれに近い。
素直に嬉しそうに笑顔になる女の子、それに慌てて謝罪とお礼を重ねる父親。
――こんな人間も……いるのか。
「スモーカーさん、遅くなりました!」
「たしぎぃ! てめぇトロトロと何やってた!」
身内には厳しいのかもしれない。
だが、そんな姿もまたハントにとっては衝撃だった。
知れず、足がスモーカーと呼ばれる男のもとへと向かう。ごちゃごちゃと内輪で会話していることを気にも留めずに、ハントはそのまま声をかけた。
「……あんた、海軍の大佐なのか?」
「あぁ?」
常人なら確実にひるむであろうその眼光に、ハントはまったくもって怯むこともなく言葉を続ける。
「海軍の大佐……なんだよな?」
再度の問いかけに、スモーカーはわずかに迷いを見せるも、小さくうなづく。それに、ハントはなぜかほっとしたような態度で息をため息を落とした。
まるで何か大事な話でもあるようにすら見せるその態度にスモーカーが言う。
「俺になんか用か?」
「あぁ、いや」
ハントは慌てて首を振る。自分でも衝動的に話しかけてしまっただけのため、本当に用があったわけではない。
「俺が見てきた海軍の人間ってみんな腐っているような奴らばっかだったから、あんたみたいな人間がいるなら海軍も捨てたもんじゃないんだなぁと思ってただけだ。特に用はないんだ。急いでたなら悪かった」
「むしろ俺ぁ海軍だと問題児だがな」
「ハハ、まぁ風貌からしてそんなオーラは出てるな」
楽しそうにつむがれたハントの言葉はあまりにも率直だった。
後ろにいた一兵卒の男は慌てた態度でスモーカーの機嫌を伺うが、大して機嫌を損ねなかったらしく、淡々と事務的な言葉をハントへと返した。
「……海軍に用があるときは遠慮なく声をかけるんだな」
「あぁ、ありがとう。それじゃ、俺はここで」
彼らに背を向けたハントがまた歩き出す。
後ろではやはり彼らは急ぎの用があったのか「ついて来い」と先ほどたしぎと呼ばれた女性と共に急ぎ足でその場から離れだした。
――あぁいう海軍の人間に最初から会ってたら今頃俺も海軍に入ってたのか?
自分がジンベエに弟子入りするきっかけともなった海軍の事務の男のやりとりを思い出して遠い目をしていたハントだったが、そこで「あ」と小さく呟いた。
――俺そういえば今、海賊だったんだ……よく自分から海軍に話しかけたもんだなぁ。
「……ま、別に賞金首ってわけでもないし
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