番外1話『ローグタウン』
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いいぞ」
「絶対だめ」
ハントの肯定とナミの否定が重なった。二人はお互いの声が信じられなかったようで驚いたように顔を見合わせる。
「え、駄目なのか?」
「絶対だめ!」
「いっぱいあるんだから一個くらいいいじゃねーか」
目をウルウルさせて懇願するルフィに合わせて、ハントもなぜか目をウルウルとさせて懇願するようにじっとナミを見つめる。
「だめなのか?」
その目に、ナミは一歩だけ後退。
普段なら「だめ!」という言葉とともに暴力あたりが付け加えられそうなものだが、ナミは顔をそらして「あんたはルフィのことをまだ何にも知らないからそんなことがいえるの!」と小さく言う。
ハントは驚いた顔を見せて「そうか、それなら仕方ないな」とばたりと倒れこんだ。
「す、すまない……ルフィ。お前に一口だけでもみかんを、と……思っていたのに、俺は……このザマさ……」
「は、ハント! だ、大丈夫か!」
「しっかりしろ、まだ傷は浅いぞ!?」
どこか遠い目をしだしたハントを抱え込んでルフィとウソップがその顔を覗き込む。
「へ、へへ……いいんだ。俺は……ここまでの男、さグボァ!」
赤い液体というかケチャップを口から撒き散らしてハントが力を失う。
「え、衛生兵!」
「衛生兵ーーーー!」
ウソップとルフィが涙を流す勢いでハントを抱きかかえて叫ぶ。非常にやかましいことこの上ない。
「……ハントってあんなんだったかしら」
ウソップやルフィと楽しそうにじゃれあうハントの姿に、ナミが頭を抱えるようにため息を落としたのは仕方のないことだろう。
こうして、ハントは麦わらの一味へと溶け込んでいく。
さて、彼らは順調に海原を進み続け、徐々にグランドラインへと近づいているわけだがイーストブルーからグランドラインに入る前に一つの島がある。
そこにローグタウンという別名『始まりと終わりの町』がある。かつての海賊王ロジャーが生まれ、そして処刑された町だ。それにルフィが興味を惹かれないはずがなく、彼らはその町へと寄港することとなった。
「よし、俺は処刑台を見てくる」
「ここはいい食料が手に入りそうだ」
「俺は装備集めに行くか」
「おれも買いてぇもんがある」
「貸すわよ利子3倍ね?」
それぞれがそれぞれの場所へと行きたいらしく、取り残されたハントは実にのんびりと困った声をあげていた。
「……さて、どうしたものか」
遠ざかる彼らの背中とは対照的にハントはそこまで行く必要がある場所がない。あえて言うなら釣り道具がほしいくらいだが金を一銭も持っていないハントにとって買い物など夢のまた夢だ。
ゾロがナミに金を借りていたのは見ていたが、幼いころにナミと接したことの
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