番外1話『ローグタウン』
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っさんくさい掛け声と共に一人の男が巨大な影を抱えて海中から飛び出してきた。なにもないはずの海中からどうやったのか、まるで陸上から飛んできたかのように空に跳ねて船の甲板へと着地する。
ドンという音とともに魚がピチピチと跳ねる音が聞こえる。全長約2mといったところだろうか。
少なくとも大人一人よりは大きいその魚に、ハントは少し残念そうに呟いた。
「あー、すまん、この辺でかいのこいつぐらいしか見当たらなかった」
言葉から察するにこれよりももっと大きな魚を狙っていたらしいが、これでも十分な大物だろう。なにせ何の装備も準備もなく海に入ったのだ。しかもかかった時間はたったの5分。
メンバーの中で一番器用なウソップでももっとたくさんの時間をかけて釣りをして、それでも釣れる時と釣れない時があることを考えれば上等すぎる結果だろうか。
「おー、うまほー!」
「……こいつは料理のしがいがありそうだ」
ルフィがよだれを垂らして、サンジが感心したように魚を眺めている。
「ハントがいる分には飯にくいっぱぐれることはなさそうだな」
ゾロの建設的な言葉がハントにとっては心地よく「役に立てそうで何よりだ」と小さく胸をなでおろした。が、それに目ざとく気づいたウソップが胸を張って笑う。
「ふふーん、俺は全長10mの魚を一本釣りした経験がある! そんな俺の名前を尊敬をこめて呼びたいのならこう呼ぶがいい。キャプテーンウソッ――」
「ああ、10mかぁ。俺もソレくらいの海王類なら何度か獲ったことならあるな……一本釣りはさすがに無理そうだけど」
「――プ……え?」
「お前すごいな」
純粋に感心した表情で微笑むハントにウソップは「お、おおよ」と動揺を隠せずにがくがくと頷く。まさか自分の誇大な嘘を信じるだけでなくそれを実現していたとは夢にも思っていなかったに違いない。
「ハントはともかく、ウソップあんたは嘘でしょ」
ナミがどことなく呆れた目でぼそりと呟いた。
「ばれた!?」
「って嘘だったのかよ!」
「というか明らかに嘘だっただろ」
嘘がばれたことで落ち込むウソップと嘘に気づけなかったことに落ち込むハントが肩を落として、それをゾロがナミと同じように呆れた目で呟く。
「こ、これが海賊って奴か」
「いや、違うでしょ」
ナミの冷静な言葉はハントには聞こえなかったらしく、ハントはゆらりと立ち上がってそのままサンジに向けて言う。
「というわけでサンジ、なんかその魚で美味いもん頼む!」
「任せろ」
サンジもなかなか料理しごたえのある魚に上機嫌なのだろう。少しばかりわくわくした様子でそのままキッチンへと向かう。
「うおおお、もう腹が減ってきたぞ! ナミ、ハントみかんくれ!」
「
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