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葛葉

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なくあたしは兄様に掴まってしまった。



足には自信があったのに。やっぱり、兄様には敵わない。



「うそ、うそだもん…。にいさまなんてきらいなんだから………」



「瑠螺蔚」



涙で濡れそぼった顔。頬にあふれる涙を兄様が優しく袖で拭いてくれる。



「男の子はだめなの?弟は欲しくないの?」



「たか、あきらが、いるもん・・・」



「高彬は弟じゃないだろう?似たようなものだとは思うけどね」



「いもうとがほしかったの!!」



「どうして?」



「たかあきらが、ゆらとあそんでたの・・・。ゆらによしよし、ってしてあげたりしてたの・・。るらいもゆらみたいないもうとがほしかったの!」



「高彬が弟なら、由良は瑠螺蔚の妹じゃないの?」



「ゆらも、そうだけど・・・。ゆらとはあんまりあそべない・・・」



「由良は赤子の頃体が弱かったからね。北様が心配して外にあんまり出さないんだよ」



「だから、いもうとがほしかった、のに・・・」



「瑠螺蔚、妹じゃなくなった葛葉はいらない?弟が二人では嫌?いらないのなら捨ててこようか?」



「!ダメ!」



「どうして?」



「・・・・・・おとうと、ふたりいても、わるくない、かも」



「そうだね。妹は母上に頼もうか」



「うん」



ふわりと優しく笑って差し出された兄上の手を、あたしはきゅっと握った。
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