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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
番外編:バトル・ロワイアル
番外編 第四話 Aブロック予選
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 先に行動を起こしたのはアイリアだった。直剣を思いっきり投擲すると同時にメインメニューを開き、クイックチェンジのボタンを押し込む。出現した両手槍を掴みとり、すぐにコーバッツに視線を戻した。その視線の先で、コーバッツはまるでいつもアイリアがやっているのと同じように槍を振り回し、直剣を弾き飛ばしていた。棍の扱いにかなり慣れているようだ。
 コーバッツはアイリアの取り出した武器を見て、彼女の意図を即座理解した。慣れている片手槍ではなく両手槍を取り出した理由、それは射程の長さでコーバッツを圧倒することだろう。それならば、接近戦に持ち込むのが得策のはずだ。彼は突進技で一気に距離を詰めた。

 アイリアとコーバッツの距離は一瞬で詰まった。コーバッツはシルドバッシュの態勢で突っ込み、アイリアはその盾を迎撃するべく槍の重攻撃スキルを繰り出した。アイリアの槍がコーバッツの盾を突いた時、彼女はとても大きな違和感に襲われた。
 シルドバッシュは体重を載せた重い攻撃のはずだ。それならば、この攻撃は――あまりにも、軽過ぎないか……?
 彼女はすぐにその違和感の理由を悟った。槍を捨て、慌てて軽業スキルの後転で回避を試みる。

 盾を投擲し、その影から棍の叩きつけ攻撃を放ったコーバッツは、アイリアが回避態勢に入ったのを見て内心で舌打ちをした。今の攻撃は見てからでは回避できない。シルドバッシュに見せかけた投擲攻撃を見抜かれたのだろう。こうなってしまってはろくなダメージは期待できない。更に、防御の要である盾は失ってしまった。万事休すである。

 ……いや、たった一つ。たった一つだけ、彼が確実に勝てる方法があった。

 コーバッツはポーチに手を突っ込むと、中から手探りで直方体で緑色のアイテムを取り出した。後転から立ち直ったアイリアに向かってそれを振りかぶる。
 アイリアはコーバッツが手にしたものを見て心底驚愕した目で彼を見た。視線で正気かと訴えかけられ、コーバッツも同じく視線だけで正気だと返す。
 コーバッツの手が閃き、アイテムがアイリアに襲いかかる。アイリアにそのアイテムがぶつかる寸前、コーバッツは高らかに勝利を宣言した。

「ヒール、アイリア!!」

 直方体で緑色のアイテム――つまり回復結晶は、見事にアイリアをその有効圏内に収めた。彼女のHPは一瞬にして完全回復し、彼女は自分の敗北を悟った。すぐに彼女の頭上にWINNER表示、つまりこのバトル・ロワイアルにおける反則者の証が踊る。

「アイリアさん、規則違反で敗戦! コーバッツさんの決勝戦進出が決定しました!」



 えええええええ!? と、観客席のシリカたちは叫んだ。ヒースクリフまでもが目を丸くしている。彼はすぐに立ち上がると、コーバッツの勝利をアナウンスし終わったアスナ他幹部たちと
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