暁 〜小説投稿サイト〜
なりたくないけどチートな勇者
8*フラグより食欲
[7/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「……いいにおい。」

鍋から流れる香しいスープの香りで完全に目が覚めたナルミ。
はしたない事に少しヨダレが出てる。その姿に苦笑しながらシルバは

「はい先生、おかわりもあります。」

ほほえましい目で眺めてるゼノアをよそに、そう言いながら皿によそったスープを渡そううとした。
そのとき

シュバッ!

「キャッ!」

矢が飛んできた、それに驚き皿を落とすシルバ、そしてシルバを掴んでとっさに庇うナルミ。
他にも複数の矢と、飛んできた方向には複数の人影。

己の欲望のために他者を襲う強奪者。
彼等は盗賊の群れだった。

「敵襲!!全員起きろ!!」

即座に反応して魔法の防壁を張ったゼノアが叫ぶ。
雄叫びと共に迫ってくる盗賊。
各々の馬車から臨戦体制で出て来る兵士たち。
戦場独特の空気と緊張感の中、ただ一人それを無視する輩がいた。

「クク、クククククク…我は影、真なる我。」

場違いな不気味な笑い声に、敵味方問わずに悪寒が走る。

「さぁ、愚かなる隣人共よ……」
その声の主は、右手で真っ赤になって縋り付く少女を抱え、左手を高々と上にあげていた。
覇気の無い目は座って、代わりに狂気の色が見え隠れしている。

「お前たちの好きな、真実を与えよう…」

その言葉と共に、彼の左手にはなにか、混沌としたものが渦巻き始めた。そして、

「此処で死ぬという、逃れ得ぬ定めをな!!」

この一言と共に放った一撃が、轟音と共に盗賊を飲み込み、吹き飛ばした。

それを放ったのは、もちろん人間の戦士、ナルミである。

残ったのは、えぐれた大地と、川の流れる音だけであった。



?サイドナルミ?

さて、自分が今日食べた物をリストアップしてみよう。
・ポテチ三枚
・キャンディ一本

以上。
ちなみにお昼ご飯は姫様のいたずらにより、食えた物ではありませんでした。

そんな自分の前に、ほかほかのあったかいスープがあります。
シルバちゃんが持ってきた、すばらしいスープ。
自分はそれを食べるため、手をのばしました、すると。

シュバッ!

「キャッ!」

人間極限状態になると感覚が研ぎ澄まされると言うのはホントらしい。
とっさにシルバちゃんを庇うように抱え、矢が当たらないように服をバリアに変えた。

しかし、自分はその時あまりに残酷な光景を目撃した。

ガンッ!

ズシャッ!


…………鍋が、倒れたのだ。

おいしそうなスープが、今日初めてのまともな食事が…

プッチン!

いやぁ、たしかに自分は短気な部類の人間だけど、これはキレても仕方がないよね。

とりあえず、殺さないだけの理性はあるからみなさんに気絶して貰い
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ