第三十一話
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「それにしても、マグニ様のほうがこのお店の常連様のようであり、若輩者のわたしのことなどお気になさらずとも良かったのに…でもおかげでこうしていられてありがたいですけれど」
「ミュアハ殿の言う事も一理あるとはいえ、決まりごとや秩序をないがしろにしては何もかもが立ち行かなくなります。民が安心して暮らして行くために秩序を保ち世を安定させることが第一、
もっとも、時としてそれが世の発展の足かせになることもあるので、先程のあなたのような感覚が大切とも考えさせられましたよ」
「褒められたと思ってもよろしいのでしょうか?」
「それは、もうもちろん」
その後しばらく飲食と共に歓談していたが、マグニさんは
「では、私はそろそろお暇しよう。なかなかに愉しき時を過ごせたこと礼を申しますぞ」
俺のぶんの伝票まで持っていくのでそれを止めようとしたのだが、そうはいかず奢ってもらうことになった。
マグニさんが店から出るのを見ていると懐から片眼鏡を取り出してかけるのを見て俺は正体がわかった。
レプトール卿
「ご店主、あの方は宰相閣下だったのでしょう?」
「それについてはお答えできません。申し訳ないです」
「では、ご常連さまなのですか?」
「それについても…申し訳ございません」
「わたしもそれなりの身分の者なのでご安心ください、レンスターという小国ですが王子です。
お答えしにくい事をお尋ねしてすみませんでした、いずれきちんとお礼を申し上げたいのでまた伺わせていただきますよ」
「は、はいっ、またのお越しをお待ちしております」
「そうだ、余り意味は無いかもしれませんが一応わたしのほうも内密に」
店の帰り際にそう店主とやりとりをし、幾許かの金を握らせて帰路についた。
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