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Sword Art Online-The:World
#04 決行
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縮図ともいえる世界が、あそこにはあった。あの世界は彼らにとって紛れも無い、もう一つの人生だったのだ。
だが、この世界はなんなのだろうか。
人の思いなどそこには一切無い。あるのはただ一人の、狂気。そしてそれに巻き込まれた、一万の人間。狂気に喰われ消えていった二千の人間。狂気に立ち向かう多くの人間。
こんなものは現実では、ましてゲームなどでもない。ただの絵空事で、空想で、幻想に過ぎない。あの男は、あの狂った科学者は、きっと夢を見ているに違いない。寝ても覚めても見続ける、壊れた夢物語、狂った童話。全てを己へと振り向かせ、差し向ける為の、狂奔。コレが、人の望むことなのか。否、人だから望もうとするのか。人で“いられなくなる”事を、人で“あらぬ”事を。

「報酬は夢、対価は命か……随分と、割に合わないなぁ」

ふっと笑い、近くの石に腰を下ろす。正方形にカットされた、石の椅子だ。
……そういえば、書類溜まってたなぁ。佐伯(さえき)さんきっと怒ってるだろなぁ、『ハセヲにカイト何をしてるの!?』とか、僕達死にそうになってても言ってそうだ。香住君はそんな佐伯さんを『まぁまぁ、一応二人も頑張ってるんだからここは大目に見ようよ』って、やんわりと佐伯さんを宥めてくれるに違いない。跡で絶対『今度合コン付き合えよ?』とかメールで来そうだ。
火野君はそんな二人を遠目に見ながら『大の大人が情けない……私を見習いたまえ』とか小さく言ってそうだ。でも誰も反応しないから、一人でこっそり拗ねたり。あぁ、早く戻りたいなぁ。
仕事がしたい、遊びたい、いろんな人と話したい、触れ合いたい、皆と一緒にいたい。
思い返すほどに、いろんな事が浮かび上がる。そしてそっと気付く、己の頬を伝う懐かしく感じる温かさ。

「…………泣いちゃってるじゃん、僕」

結局のところ。カイトは、現実に戻りたいのだ。
この世界がどれだけ理想であろうと、現実には敵わないのだ。笑いながら、カイトは頬の涙を拭う。そして周囲をきょろきょろと見渡すと、誰にも見られていない事にほっとする。大の大人が泣いてるなんて、結構恥ずかしいものじゃないか。
そう、見られてはいない。見られ“かけて”いた。広場の奥、通りのほうから人影が歩いてくる。
NPCかと思ったが違う。陰にうっすらと、剣が見えた。腰から伸びる、一本の筋。そんなものを持てるのは、誰かなんて決まっている。この世界では、武器を持てるプレイヤー以外で、武器を持ったNPCを見た事が無いからだ。
姿を現したのは、青い騎士風の青年。腰に携えた直剣と、背負った盾がカイトにそう思わせていた。こんな早朝から狩りか、と思ったがどうやら違う。彼はそのまま広場の石椅子に腰掛けて、まるで瞑想でもしているかのように動かなくなった。
その様子が厭に気になり、カイトは青年に声をかけてみ
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