第三話 〜凌陽関〜
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!凱雲様は豪帯様との約束を破られるのですか!?』
『いや、約束は約束じゃ。守るに決まっておるじゃろ』
『でしたらなぜ?!』
『ワシは"少ししたら休暇を取る"と言ったんじゃ』
『『!!!!』』
『なに、ワシも鬼ではない。それ程時間をかけようとは思わん。安心せい』
その言葉で兵士達の顔に安堵が見えた。
そんな顔をされてはワシの心も揺れてしまうではないか。
『じゃから、残りの少ない時間で全ての予定を終わらせる。泣き事は許さん』
『『!?!?!?!?』』
兵士達の顔から安堵が消える。
誰かが厳しくなければいかんのだ。
許せ。
『貴様ら…覚悟せい』
僕は道行く人々の中にいた。
本当なら気が滅入ってしまうが今の僕は最高に気分がいい。
何たっていつも僕を帯坊帯坊と馬鹿にする奴らが僕に涙し頭を下げたのだ。
こんなに嬉しい事はない。
嬉しさのあまり今だに身体の熱が冷めず、その熱が僕の高揚感を醒ます事をさせない。
こうも密集した場所で無ければ駆け足で走り回りたい程だ。
そうこうしている内に宿舎についた。
僕は宿舎の管理人の所へ向かう。
『おじさん!!』
『あ、豪帯…』
声をかけたはいいが僕の舞い上がった気分とは裏腹に、何故かおじさんは僕の顔を見るなり気まずそうな顔をした。
『ん?どうしたの?』
『いや…実はな』
おじさんが気まずそうに話し始めた
『豪帯が借りてた部屋があったじゃろ?実はあの部屋に客が来てしまってな』
『え?僕の部屋に?』
『そうじゃ、偶然あの部屋の前を通ったら居ない筈の部屋に人がおってな。そして中を見てみればそいつが寛いでおったんじゃ』
『勝手に?』
『うむ…』
『まさか…今もそいつ居るの?』
『…すまん』
『すまんじゃないよ!!だったらそいつ追い出してよ!!あれは父さんが借りた部屋でしょ!?』
『いや、そうなんじゃが…』
『そんな常識知らずの為に何を躊躇ってるの!?お金でも積まれたの!?』
『ち、違う!!違うんじゃが…』
頭に来た。
折角のいい気分が台無しだ。
このおじさんは気のいい人ですごい好きだったのに幻滅してしまった。
まさか、後から来た奴に借りられた部屋を譲るなんて。
『…もういいよ。僕が追い出してくる。』
『あ、豪帯!!やめときなさい!!』
僕は無視して部屋へ向かった。
そして部屋の前。
おじさんが追い出せないような人が中にいる。
もしかしたら柄の悪い筋肉隆々の男、もしくはその類いの見るからに危険そうな奴が…
どっちにしろ、ここで黙って部屋を取られては僕はおろか父さんまで恥をかく羽目になる。
それに悪い事をしているのはあっちで正当性はこちらにある。
最悪の場合
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