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〜烈戦記〜
第三話 〜凌陽関〜
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わかっている。
もう後は無い。
これが最後のチャンスだ。
静かに流れる時間の中、僕と兵士達は固唾を飲んで次の言葉を待つ。


どうだ?


『…わかりました。少ししたら私も休暇を頂きましょう』


『『『『ウォー!!』』』』

一際大きい歓声が湧き上がる。
その声は駐屯所の柵の向こうにまでそれは聞こえていたらしく、道行く人々も何か何かとこちらを見ている。

兵士達は皆喜びを噛み締めていた。
ある者は抱き合い、
ある者は涙し、
ある者は僕に向かってただひたすら頭を深く下げていた。

その中心に僕がいた。

それがとても嬉しくもあり、誇らしくもあった。

だが、今は凱雲が目の前にいる。
演技とはいえ、無理矢理凱雲の予定を狂わせたのだ。
まだ勝利の余韻に浸る訳にはいかない。
僕は最後まで演技を貫き通さねばならない。

『よかった!!これで今日の夜も安心して寝られるよ!!』
『えぇ、何も心配なさらずグッスリお休みください』
『うん、それじゃあ僕も宿舎に戻るね』
『はい。お気をつけて』

僕は兵士達の熱い視線に見送られながら宿舎へ向かった。



なんだこの茶番は。

凱雲は豪帯の去った後、浮かれる兵士達の中で一人冷静にそう思った。

訓練を拒むが故に関主の息子にまで寄って集って大の大人が頭を下げ、更には阿呆の用に声を上げ涙を流している有様だ。
しかもこれが我らの街を守る兵士である。
豪帯様が絡むといつも私は溜息をつく羽目になる。
一体何回目の溜息なのだろうか。

そうしてまた一つ大きな溜息を着く。
そして気を引き締め直す。


『皆の者!!』

その号令に皆、何時にも増して背筋を伸ばす。
だが、決して気を引き締めた訳ではなく、ただこの後の自由な時間への期待から体に力が入っている。
まったく阿呆ばかりじゃ。

『引き続き槍による迎撃訓練に入る!!隊列に戻れ!!』
『『え!?』』
『何がえ?じゃ!!早よう隊列を組め!!』

一人の兵士がワシの前に来る。

『凱雲様、それはあんまりじゃ!!今帯坊と約束して休暇を取ると言ったではありませんか!!』

周りもそれに加わる。

『そうじゃそうじゃ!!』
『帯坊との約束はどうなるんですか!!』
『破られれるんですか!?』

より一層力強く目の前の兵士が乗り出す

『凱雲様!!帯坊との約束はどうなさるんですか?!』


ドカッ

『ウグッ!?』
『『ッ!?』』

目の前の兵士の顔を殴る。
皆その光景に唖然とした。

『さっきから聞いておれば上司のご子息に向かって"帯坊"とは何事か!!』
『す、すみませんでした!!』

兵士が頭を下げる。

『し、しかし!
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