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〜烈戦記〜
第三話 〜凌陽関〜
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いところなのかもしれない。

『あ、そうだ。凱雲ってどこにいるかわかる?』
『あいつはお前を宿舎に連れて行った後、自分も休むと言っていたぞ』

確かに凱雲は僕の護衛で村に来た時から一睡もしていない。
本当なら父さんの言うとおりなのだが。

『わかった。ならこれから凱雲の所に行ってくるよ』
『うむ、終わったら宿舎の方にいてくれ。色々話さねばならない事があるからな』
『うん、仕事頑張ってね』
『あぁ』

そう言って部屋を後にした。



『迎撃、構え!!』
『『ハッ!!』』

部隊の駐屯所に凱雲はいた。
凱雲の事だと思って真っ先に来て見たらやはり自室で休んでなどいなかった。
多分何故かと問えば職務だからと言うのは目に見えている。
しかし父さんがああいう性格だ。
凱雲が休まず練兵に精を出していると知れば意地でも凱雲を自宅へと追いやるだろう。
しかし凱雲も長年父さんと一緒にいる間柄それをされる前に手を打っている。
だが、そんなにも仕事熱心になるのはどうかと思う。
体を壊しては元も子もない。
それに朝方に関に着く予定だったものを僕が村の人達と別れを惜しんで一行に村から出られなかったために予定を狂わせてしまったのかもしれない。
そう思うと少し申し訳ない気がする

『あ!!帯坊だ!!』

一人の兵士が僕に気付き走って来た。
それに続いて他の兵士達も腕を止めて僕の方に走って来る。
それを見ていた凱雲は始めは止めに入ろうとしたが、僕の登場で既に空気が訓練の雰囲気では無くなったのを察し諦めたようだ。
始めに走って来た兵士が小声で耳打ちする。

『よくやった帯坊…!!』

どうやら僕はみんなのサボりに利用されたようだ。
続々とみんなが僕の周りに集まってくる。
僕も凱雲に聞こえない声で喋る。

『みんな相変わらずだね』
『いやな?今日は帯坊の護衛から凱雲様が戻られたばかりだからみんな訓練は無いものだとばかり思っていたんだが…甘かった』
『みたいだね』
『ワシらだってたまには休暇が必要じゃというのに…帯坊、なんとかならんか?』
『なんとかも何も僕には何の権限もないよ』
『いや、最悪凱雲様でなくても豪統様に伝えてくださればいいんじゃ、"兵士がみな休暇を欲しがっておる"と』
『ん〜…どうしよっかな〜…』
『お願いじゃ!!』

みんな一斉に僕に頭を下げ始める。
こうやって責任者の息子に対して"休みをくれ"と兵士達が頭を下げるあたりこの関の防衛は大丈夫なのだろうか。
まぁ悪い気はしないが。

凱雲がこっちに向かってくる。
兵士達からは次第に焦りに似た感情が伝わってくる。
よし、今だ。

『あ、そういえば今関庁の前の警備している二人にすごくからかわれて恥ずかしい思いしたな〜
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