第三話 〜凌陽関〜
[4/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
はしっかりワシの後を継げるようにしてやるからな』
『ははは…。あ、そういえば僕、なんで宿舎で寝てたの?僕、今朝の事あんまり覚えてなくて』
『やはり覚えてはいないか。ワシの所にお前達が着いたと聞いたから出ていけばお前、凱雲の前に乗せられて居眠りしておったぞ』
『あー…なる程』
『そのまま凱雲がお前を宿舎に連れてったんじゃないか?あ、それはそうとお前達賊に襲われたそうじゃないか』
『うん。…凱雲ってすごいんだね』
『そうじゃろ。ワシの頼もしい片腕じゃからな。…ところで何人の賊に襲われたんじゃ?あいつは大した数ではないと言うが何分あいつは謙遜が過ぎる部分があるからな。賊の規模によっても色々やらねばならないからな』
『ん〜…18人くらいじゃないかな?』
『…まぁ、確かにあいつにとっては大した数では無いな』
『え…』
『賊くらいならあいつ、50は相手にしてみせるんじゃないか?』
言葉が出なかった。
県庁さんからもらっていた書物の中で豪傑と呼ばれる存在の事は知っていた。
だが、あの凱雲がその豪傑に近い存在、または肩を並べれる存在だとは思いもしなかった。
『それはいくらなんでもないんじゃないかな?』
『いや、ワシらは幾つかの戦場に赴いた事があるが、あいつの強さときたらそりゃもうすごいものだったぞ?時には凱雲を見ただけで敵兵は逃げる時もあったからな。ははは』
笑い事ではない。
もし仮にそれが本当なら僕は次に凱雲と会う時どんな顔をすればいいかわからない。
現に今も今までの事を思い返してみてはいるが、とてもじゃないがそんな人に対する接し方をした覚えがない。
それどころか僕は小さい頃に一度凱雲の顔に泥だんごをぶつけた事だってあったのだ。
背中を嫌な汗が流れた。
『…っふ、お前なんて顔をしているんだ。』
『…いや、これからは凱雲を怒らせないように気をつけようかと』
『いやいや、あいつは小さい事は気にしないからいつも通りでいいんじゃないか?変にお前がオドオドしていてはあいつもどうしたらいいか困るだろ』
『…そうだね。ところで言っちゃ悪いけど、よく凱雲はこんな辺境に留まってるね。都の方なら今みたいな一武官じゃなくてもっといい場所につけそうなのに』
『確かにな…。実際北の涼族との戦が終わった時、凱雲に都から直接部隊長への誘いがあったみたいだが、どうにもこれを断っているんだ』
『父さんも大分慕われてるね』
『いやいや、多分あいつはこの地方から離れたくないんじゃないか?まったく、あいつも変わり者だよ』
父さんはどうにも昔から人の好意にはうとい。
実際父さんは県長だった頃からみんなに慕われていたし、今だって兵士や街の人達からも信望があつい。
だが、本人にはまったくそれがわからないようだ。
でもそこが父さんのい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ