第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十九 〜宴の夜〜
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北平に凱旋した我ら。
黄巾党を討ったという知らせは既に届いていたらしく、軍は大歓迎を受けた。
それだけ、黄巾党に苦しめられた者が多いという事だろう。
「流石は公孫賛様だ」
「四万からの賊を、お一人で打ち破るとは……武にも、優れた御方だったんだな」
「当たり前だろ。異民族が恐れる、白馬将軍様だぜ?」
賞賛を浴びる公孫賛は、くすぐったそうな顔をしている。
「私は、大した事はしてないんだけどなぁ」
「そんな事はない。もっと、胸を張って良いのだ」
「けど、実際は土方の義勇軍と董卓軍の働きだろ?」
「私はただ、民を無闇に苦しめる輩を許せぬだけ。民を救うのに、義勇軍も官軍もあるまい。それだけだ」
「せやせや。官軍かて、アンタの万分の一の働きすらでけへん奴は、ぎょうさんおる。アンタは、民を守るために努力しとるやんか。ウチは、それだけで物凄い事や思うで?」
霞は、官軍の有様を審に見ているだけあり、言葉に説得力がある。
流石に、公孫賛もそこまで否定は出来ぬだろうな。
「とにかく、手柄を立てたのは事実。誇る事はあっても、恥じる事は何一つない」
「そ、そうか……。うん、そうだよな」
公孫賛は、ぎこちなく頷いた。
そして、戦勝祝いの宴の場へ。
「済まんな。本来ならもっと、豪勢にしたいんだが」
申し訳なさそうな公孫賛。
「気になさるな、公孫賛殿。事情は我らも知っております、このような場を設けていただけただけで、結構でござる」
「ウチは、酒があればそれで十分や」
……この二人は、特に気にしていなさそうだ。
「周倉、徐晃殿。貴殿らの働きには、改めて礼を申す」
「止してくれ、大将。俺はアンタを見込んだ、それだけだぜ?」
「私も、借りを返したに過ぎんさ」
「うむ。まず周倉、改めて我が軍への合流を認めよう。それで、誰かの下につけようと思うが、所望があれば聞こう」
「それなら、廖化と同じところがいい」
即答だった。
「愛紗。どうか?」
「はぁ。私は構いませんが……」
「恐らく、廖化に異はあるまい。私も、周倉の望みどおりが良いと思うが」
「……それは、ご主人様の知識ですか?」
「それもある。だが、刎頸の交わりを結んだ二人を、わざわざ離す必要はあるまい?」
「そうですね。わかりました、では周倉。宜しく頼む」
「おう、わかったぜ姐御!」
「あ、姐御?」
「ふふふ、良いではないか。そうか、姐御か」
「ご、ご主人様! からかわないで下さい!」
顔を真っ赤にして、愛紗はどこかに出て行った。
「大将。俺、怒らせたかね?」
「いや、あれは怒っている訳ではあるまい。どうしても気に入らぬとあらば、はっきりと言う奴だ。心配いらぬ
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