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IS インフィニット・ストラトス〜転生者の想いは復讐とともに…………〜
number-47 vision
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―」


声にならない何かを呟いた。
それはただの吐息なのか、それとも何か言っているのか。
それは誰にもわからない。


「――――」


シャルロットの瞳から涙が零れる。
先ほどの声にならない何かは何だったのだろうか。
吐息なのか、嗚咽なのか――――


      ◯


織斑一夏は千冬に束と麗矢の関係を話すか迷っていた。
その最中に一夏の耳に入ってきたのだ。


『麗矢がいなくなった』


それが一夏の耳に入ってきた瞬間、いつの間にか体が動いていた。
バタバタと慌しく廊下を駆け抜けていく。
途中で誰かとすれ違ったが、関わらないことにして千冬のもとへと急いだ。


千冬は教室にいなければ職員室にいつもならばいるが、一夏は職員室には向かわなかった。
向かった先は管制室。
麗矢がいなくなったのが事実であれば、千冬は真耶と一緒に管制室にいるだろうと踏んだのだ。


結果的にはいた。
だが、管制室の片隅に寝かされているセシリアとラウラ、後は名前を教えてもらっていないが学園の生徒会長がいた。
一夏の本能が告げている。


――――あれに触れてはだめだと。


「ちふっ……織斑先生」


いつも通りに千冬姉と言いそうになったが、辛うじて抑えた。
もし、あのまま言っていたら片隅に寝かされているあの三人のようになっていただろう。
千冬の眼光が鋭いものになっていた。


「麗矢が消えたって本当ですか」
「……ああ、本当だ」


答えるのに少し間があったが、そこは気にしても無駄なところであろうと一夏は割り切った。


「捜索隊は?」
「もうすでに出した」


これで確認したいことが尽きてしまった。
千冬が腕を組みながら一夏を見据える。


「……もう終わりか? 終わりなら――――」
「いえ、最後に一つ。織斑先生は麗矢と束さんの関係を知っていますか?」


千冬の声を遮って最後の質問を投げかける。
千冬は一夏の目を見る。
い殺さんばかりの目力に目を背けそうになるが、堪えて千冬を見続ける。


どれくらい経っただろうか。
それ程過ぎていない筈だ。
一分も、十秒も過ぎていないとまで思える。


そのほんのすこしが長く感じられた。
実際にはたった一秒ぐらいだったが。


「……ああ、知っているさ。あいつがどういった感情を持ち合わせていたなんて、な……」
「…………失礼しました」


千冬が目を細め、過去を懐かしむように言った言葉を一夏はほとんど聞いていなかった。
ただ、あんな千冬を見たくなかったのかもしれない。
心の中に感じた疼きの意味を一夏は知ることはできなかった。


       ◯


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