第二部
鋼の精神・・・すげえ
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たせいだろう。テンパっていた頭が冷えて、多少冷静になった彼は、致命的な事に気がついてしまった。
(さ、さっきから日本語で喋ってるじゃねぇか!!!)
そう、異国の人の気配が全くしない浜辺で、明らかに事件に巻き込まれたようにボロボロになった美少女を見つけた彼は、焦るあまりにずっと日本語で話していたのだ。時折、少女が首を傾げていたのは、言葉が分からなかったからなのではないか?どこの国の人間かは分からないが、少なくとも日本人ではないだろうし。
「あ、あ〜・・・どうするか・・・。」
いっそのこと、取り敢えず警察に引っ張ってみるかと考えるも、それでは自分が変質者扱いされかねないと気がつく。信じられないような美少女の手を強引に引いていく異国の少年。・・・この構図は、他人から見てどう映るだろうか?
「さ、最悪だ・・・。」
周囲には人影もなく、頼れる人が居ない。警察の場所すら分からず、途方に暮れた護堂は、当たって砕けろと、取り敢えずコミュニケーションを図ることにした。
元々彼は、幼少期から何度か祖父に連れられて外国に行ったことがある。そして、祖父とはぐれて、数時間、酷い時は数日の間、自分一人の力で生きていくしか無かったこともあったのだ。その時は、必死に周囲とコミュニケーションを取って、家に泊めてもらったり、飯を奢ってもらったりしている。彼は、日本の一般的な中、高校生より、遥かに行動力においては優れる人物なのだ。
「英語なら分かるんだろうか・・・?」
「私、貴方の言葉分かりますよ?」
「え・・・・・・?」
護堂の呟きに反応した彼女から、日本語で話しかけられて、護堂は驚いた。・・・が、これは好都合だ。
「そ、そうか!言葉が通じるのなら良かった!俺の名前は草薙護堂。見ての通り、日本からの旅行者だ。君の名前は?一体、誰にそんな目に合わされたんだ?」
希望を取り戻した彼だったが、彼女の言葉は彼の希望を根元から叩き折るものであった。
「名前・・・分からないんです。」
「は?」
「それに、私はどうしてこんな場所にいるんでしょう?あの・・・此処は、どこですか?」
「き、記憶喪失かよ・・・?」
思った以上に厄介な事件に巻き込まれたかもしれないと、彼は内心で吐息した。
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