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ラインの黄金
第一幕その七
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 彼が言うのはあくまでこのことだった。
「さもなければこちらも平和をかなぐり捨てるぞ」
「神を手渡せというのか」
「それが契約だからだ」
 ファゾルトには絶対の根拠があった。だからこそ強かった。
「わし等とのな。そう」
「わし等はだ」
 二人はここでジロリとフライアを見た。フライアはその視線を受けただけで身体を奮わせる。その彼女を姉であるフリッカが抱き締めて守っていた。
「この節ばった手で汗水流して働き寝食も忘れていたのはだ」
「契約の為だ」
 これだというのだった。
「フライアを妻にもらいたいからなのだ」
 ファゾルトはそうであった。
「わし等は儲けを求めてはいない」
 ファフナーも言う。
「だからフライアを貰うというのだ」
「ローゲはまだか」
「貴方が御呼びしたらいいのです」
 フリッカの夫への言葉は険しい。
「その槍に契約の言葉が刻まれているのですから」
「それはそうだが」
「さあ返答は」
 またファゾルトが言い迫ってきた。
「どうされるので?」
「他の報酬にするのだな」
「約束は約束だ」
 ファゾルトも引かない。
「だからフライアを」
「そうだ。今貰おう」
 ファフナーがここでその巨大な手を伸ばしてきた。そうしてフリッカを払いのけその手にフライアを抱き締めてしまったのであった。

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