第三十話
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ほどの方ならば良い方なんでしょうね。わたしは今日知り合ったばかりなので人為を存ぜぬもので申し訳ありません。公子のお手を煩わせるやも知れませぬが仲立ちやご紹介いただければわだかまりも解けることでしょう」
「はい!喜んで! もしよければもっと詳しく自己紹介しませんか? あ、忘れてました。みゅあは君のお食事を預かっているのでどうぞ。それと明日は朝から入校式ということで起床は遅めでいいという話でしたよ」
俺はまずトレーに載せられた食事を受け取り、それを腹に収めながらアゼル公子の身の上をいろいろと聞かせてもらい、そのあとで自分の話を語った。
消灯時間になった後は互いに定めた寝台に潜り込み、続きを語った。
「…ご苦労されているのですね。他国に人質に出されたり、暗殺されそうになったりと……」
「いやいや、それでもそのぅご無礼やも知れませんが御両親ともにこの世から旅立たれたアゼル君に比べたら、わたしはずっと恵まれておりますよ。 そうそう、士官学校を卒業し故郷に帰れたら姪か甥にも会えることになりそうです。兄嫁におめでたがありましてね。いまから楽しみです」
語り合ううちに公子から君へとアゼルへの呼び方を替えていた。
そのあともとりとめも無く語っていた俺達はいつのまにか眠りに落ちていた。
翌朝目が覚めた俺は、まだ眠っているアゼルを残し部屋を出た。
いつもの朝練ってやつをやろうと宿舎をうろつき良い場所を探したり、道具の貸し出しを行う場所を探していたら歩哨に出くわしたので挨拶を行い、うろつく理由を伝えると感心されると共に便宜を図ってくれた。
適当に切り上げて部屋に戻り、人のごった返した洗面所だったがうまいこと使う事が出来、再び部屋に戻り身支度を整えた。
起きた時に俺が居なかったことにアゼルは驚いていたようだが理由を知って呆れられた。
なにもこんな日まで訓練しなくてもと…
入校式は士官学校のグラウンドのような場所に新入生が集められ、司会のアナウンスのもと滞りなく進んで行き、式が終わったあとは各施設の見学など必要事項が次々と進んで行った。
昼食や休憩後、夕方からは歓迎会らしきものが挙行されるという案内もあった。
時間が空いたからであろう、アゼルが連れてきた。
「ああ、昨日の方ですね。アゼル公子からお話は伺っております。昨日の敵は今日のなんとやらと申します、アゼル君の為にも昨日のことは互いに忘れましょう」
「…ドズルのレックスだ」
「ではレックス公子よろしく。改めて申します、わたしはレンスターのミュアハ」
俺が握手の手を差し出すと思い切り握ってきたので俺も大人げなく本気の四割程度力を入れて握り返してやった。
するとレックスは顔を真っ赤にして青筋立てた上に声を出して苦しそうなので離してやった。
手
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