第72話 そして、伝説へ・・・
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を打ち破ったのは、私の隣にいた母親だった。
「いいえ、王様。
この子がいます。
オルテガの血を引くこの子が」
私が、反対する前に、母親は言い切った。
「夫の意志は、きっとこの子がついでみせますわ!」
それからの毎日は、地獄だった。
私は勇者ではない。
勇者かどうかを知るための水晶で確認したところ、何の反応も示さなかった。
私は天から勇者として選ばれなかった。
だけど、私は勇者と同等の訓練を行った。
勇者でないものが、勇者と同じ訓練をするとどうなるか。
結論から言えば、死んでしまう。
だけど、止めることはできなかった。
母親の言葉がある。
そして、勇者がいなければ世界は魔王に支配される。
父親が命をかけて守ろうとしたもの。
私も守らなければならなかった。
「私は勇者ではない」
私は、思わず口に出すことを恐れて魔王を倒すまで、しゃべらないことを決めた。
私は、自分が弱いことを知っていた。
しかし、そのことを知られてはならない。
王宮は、当時成長途上のキセノン商会に依頼して、別の大陸にある防御効果の高い「みかわしの服」を用意してもらった。
だから、子ども達にいじめられても問題なかった。
いつまで、こんな日が続くのだろうか・・・。
私を助けてくれたのは、少し年上の男の子だった。
勇者は、人を助ける存在。
でも、人に助けられてしまった。
やっぱり、私は勇者になれないのかな。
「いや、勇者だから少年たちにけがをさせてはいけない。ということか」
私は大きく頷いた。
この男の子は、初対面なのに、私の考えを見抜いた。
そして、勇者として扱ってくれる。
嬉しかった。
こんなに喜んだのは、本当に久しぶりだった。
たぶん、私にとっての初恋なのだろう。
直後に急に胸が苦しくなった。
あの男の子と話したい。
でも、私が女の子であることや勇者ではないことは秘密だ。
しゃべれることも。
だから私は決心した。
魔王バラモスを倒して、男の子に自分の気持ちを伝えることを。
現実は残酷だった。
男の子は私が14歳の時に旅に出た。
途中、ロマリア王に就任したとき、1人の女性と関係を持った。
なかば強引に襲われたようだが、男も若かった。
自制が出来なかったのだろう。
王位継承の関係で、結婚はしなかったが、娘が産まれたらしい。
そして冒険が終わった今、男のそばに娘がいた。
「ごめん。この娘がいるのでね」
男は残念そうに謝った。
「かまいません」
私は、男の手を握った。
男は驚きながら、それでも私の目を見つめて答えた。
「俺は、・・・」
男は、私を抱きしめると、・・・
「「この文章を読んで欲しい」と言われて読んだのはいいのだが、
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