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ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第68話 そして、天界へ・・・
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闘中はいつも眼鏡をしている。
セレンの話では「眼鏡をかけると、アイテム入手率があがる」とのことだったが、言葉どおりの成果を上げている。
俺のHPが300を越えているのは、セレンがモンスターから、「スタミナの種」を大量に奪ったからである。

一方で、眼鏡をかけたセレンは口調が大きく変わる。
「インテリめがね」は性格を「ずのうめいせき」へと変化するが、俺達が眼鏡をかけても口調まで変わることはなかった。
口調が変わっても、問題がないことから眼鏡の着脱はセレンに任せている。


「どういうこと、セレン」
俺が別の事を考えているうちに、テルルが質問をしていた。
「天界がどのような世界なのかわかりません。
しかし、アーベルさんが大魔王を倒すために必要な光の玉を入手した竜の女王の城と、天界とが繋がっていることから、ある程度人間に好意的なことも考えられます」
「だったら、戦闘がおこなわれることは無いのでは」
「大魔王が、天界をそのままにするのでしょうか?」
「俺が大魔王なら、先手を取るね」
セレンの問いかけに対して、俺が自分の考えを披露する。

「なら、天界は大丈夫なの?」
テルルは不安そうな顔をする。
「大丈夫よ、テルル」
セレンは、右手で眼鏡の位置を調整するとテルルに自分の考えを披露する。
「私たちがここにいることが、何よりの証拠よ」
眼鏡をかけたセレンをみると、なぜか高校時代の数学教師を思い出した。

「天界は、大魔王からの侵攻を防ぐため天界への移動手段を閉ざしたと思うの。
私たちが、大魔王を倒すまでは、天界にこられなかったように」
「天界が大丈夫なのはわかったわ」
テルルはうなずいたが、最初の疑問の言葉をくりかえす。
「どうして、戦闘準備が必要なの」

「私たちが住む世界は、いまだにモンスターがいるよね」
「そうだな」
俺は頷く。
「そういうことなの、セレン」
「アーベルは、既にモンスターが天界に進入を果たしたと考えて、私たちに戦闘準備の指示をしたのよ」
「そういうことだ」

俺は、大きくうなずくと、既に戦闘準備を完了し、だまっていた勇者に、声をかける。
「俺の指示にすぐ従ったが、わかっていたのか」
「いいえ。
でも、アーベルさんが間違えることなどありえません」
「いろいろ、失敗したこともあるぞ」
「アーベルさんの指示が正しくなる為なら、何でもしますから大丈夫です」
勇者は、決意を表明した。
俺は、勇者をあきれた様子で見つめるセレンとテルルを見ながら、頭を抱えていた。



洞窟の中は、ゲームの世界と同様に、これまで冒険してきた様々な洞窟の一部を再現していた。
再現したのは、洞窟の形状だけであり、登場するモンスターは、これまでの一般モンスターを上回る力を持っていた。

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