暁 〜小説投稿サイト〜
ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第66話 そして、再出発へ・・・
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
老人は、昔と変わらず、居眠りをしていた。
いや、寝たふりをしていた。
「起きてください」
勇者が魔法使いを起こそうと体を動かすが、動かない。

「今回はどうするの?アーベル」
さすが、テルル。
魔法使いの寝たふりを見破ったようだ。
テルル相手に、同じ技は通用しない。

俺は、勇者に声をかける。
「帰るぞ」
「いいのですか」
「無理に起こすのはまずいだろう」
「ですが、とうぞくの鍵が」
「俺が、代わりに開けてやるよ」
寝たふりをしている老人に、容赦ない宣告を聞かせる。
「だから、帰ろうか」
俺は、勇者の肩に手を回して一緒に帰ろうとする。
「・・・。はい、アーベルさん」
勇者は何故か、俯いた表情をしている。


「まちなさい」
魔法使いの老人が、俺達を制止すべく、寝たふりをやめ声をかける。
「次は、何処に行きましょうか?」
俺は老人の声を無視して、勇者の質問に答える。
「それは、リーダーである勇者が決めることだ」
「でも、元リーダーのアーベルさんの意見が聞きたいです」
「そうだな。俺なら無難に、レーベの村で一泊するだろうな」
「そうしましょう」
勇者は俺の提案を嬉しそうに受け入れる。

「待ってくれ」
老人は、俺達を制止するため入り口に立ちふさがった。
「頼むから、わしの話を聞いてくれ」
「はい」
勇者は喜んで頷いた。

「・・・。というわけで、勇者にはとうぞくの鍵を渡そう」
魔法使いの老人は、勇者にとうぞくの鍵を手渡そうとする。
「どうする?」
決定権は勇者に渡している。
当然問題が有れば、俺が意見をいうことにしているが。
「私には、アーベルさんがいるから大丈夫です」
「そうなるよなぁ」
「そうですよねえ」
「アーベルは、あなたのものではありません」
テルルだけ異議があるようだが、とうぞくの鍵がいらないと言う結論だけは、全会一致だ。

「たのむ、ひとりでさみしく何年も暮らしている老人の、最後の頼みを聞いてくれ」
老人も、必死だ。
「どうします、アーベルさん?」
勇者は、俺に意見をもとめた。
勇者としては、人の頼みを断るのがつらいのだろう。
俺としても、勇者の名声を下げる行為はしたくない。
「受け取ったら?」
「わかりました」

勇者は老人から、鍵を受け取るとお礼をいった。
「ありがとうございます」
「いいのじゃよ、夢のとおりの出来事だから」
本当か?
前に俺達と会ったとき、俺達が夢に出ていたことなど一言も話してないが。

俺達は帰ろうとすると、老人が引き留める。
「待ってくれ」
「なんですか」
「実は、夢には続きがあってな」

老人の話では、勇者がお礼に、老人と一緒に休むという話だ。
「・・・。アーベルさん」
勇者は、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ