第66話 そして、再出発へ・・・
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とにした。
旅立ちの日の朝。
勇者の母親だけが見送りに来ていた。
勇者の母親は、当初、娘が冒険に出ることに反対していた。
母親は、娘を男の子のように厳しく育てたのは、無事に冒険から帰ってくる事を願っていたからであり、心配しなかったわけではない。
勇者に対しては、
「あなたの旅はまだおわらないの?」
「魔王はもう、たおしたのでしょう?」
と、何回も引き留めていた。
勇者の懸命な説得工作で、
「・・・そう、まだなのね」
「わかったわ。母さんずっとまっているから・・・」
と納得し、見送りに来ているのだ。
そのかわり、勇者の母親の俺に対する視線は、非常に厳しい。
まるで、「うちの娘をかどわかして、冒険という危険なことに巻き込む存在」と考えているようだ。
それをしたのは、俺達ではなく、3人組の誘拐犯なのだが。
そのことを、テルルに話すと、
「アーベル、本気でいっているの?」
と、逆に心配されてしまった。
ちなみに、俺の母ソフィアに冒険の話をすると、
「結婚相手を連れてくるまで、家に帰らないで」
と言われた。
「俺はまだ、20歳にもなってないのに、気がはやい」
と、言い返すと
「10年後も同じ事を言うから、だめ」
と切り捨てられた。
前世の事を思い出すと、否定できないので、うなずくしかなかった。
俺達が最初に目指したのは、アリアハンの西にあるナジミの塔だった。
目的は、盗賊の鍵の入手である。
塔の最上階に住む魔法使いが持っている。
俺達が冒険した時に、しばらく借りていた鍵だ。
俺が鍵開け呪文「アバカム」を持っているので、はっきり言えば無用のアイテムだ。
と、身もフタもないことを言うと、アリアハンでのイベントが無くなるので、勇者を先頭にして歩いている。
「モンスターいないね」
「・・・。そうだね」
孤島にそびえるナジミの塔に行くためには、地下の通路を通る必要がある。
かつては、モンスターがいたが、今は全く存在しない。
俺が、ウエイイ開放計画を実施していた頃、アリアハンでは、ナジミの塔奪回作戦が展開されていた。
母ソフィアが詳細を教えてくれなかったので、知り合いの兵士に確認したところ、「ほとんどソフィアが1人で、塔を制圧した。魔法も使わずに」と、遠い目をして教えてくれた。
世の中には、知らない方が良かったことがあるようだ。
今回俺達が使用した、塔への移動ルートは、アリアハンの東南にある岬の洞窟から進入している。
実は、アリアハン城内から侵入するルートもあるのだがやめている。
せっかく勇者の母親が見送っているのに、城にもどるのはきまりが悪い。
俺たちは、苦労することなく、ナジミの塔の最上階に到着した。
とうぞくの鍵を持つ魔法使いの
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