第65話 そして、師匠の話へ・・・
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」
「はい、アーベルです」
俺は、ロマリア王宮内を歩いていると、小太りした中年の男と挨拶を交わしていた。
母ソフィアとジンクの師匠である。
「今日も、ひとりなのか」
「はい、そうですが」
「・・・。そうか、残念だ」
男は肩を落とした。
幸運にもセレン達は、先に宿に戻らせている。
勇者もアリアハンに帰している。
今の勇者なら・・・、いやなんでもない。
「お師匠様、久しぶりです」
「ふん。お前などに用はない」
男は、ロマリア王妃の挨拶にもすげない返事だ。
「それなら、これはどうですか」
ジンクは、悪戯っぽく微笑むと、呪文を唱えた。
「ジンクは王妃だろ。自重しろよ」
俺は、呪文の内容に気がつくと、ため息をつきながら注意する。
ジンクの胸は豊胸呪文「特盛り」で大きくなっている。
ジンクの服装は、薄い赤のドレスだった。
構造は不明だが、胸の大きさが変わっても、問題ないように作られているようだ。
ジンクは、男に胸を見せつけている。
男は、ジンクの胸を観察すると、
「偽物には、興味がない」
と、言いながら、視線をジンクの豊かな胸から外すことなく、歩いていった。
「さすが、師匠です」
ジンクは、にこやかに手を振っていた。
俺は、師匠と呼ばれた男を強引に部屋に押し込んだ。
「あなたも、転生者とは思いませんでした。
いや、前回はうまくだまされました」
「すまんな、アーベルよ」
男は、自分が転生者であることを隠すため、助手の女性を変身呪文「モシャス」で自分の姿に変えて俺と話をさせたらしい。
どおりで、「電話」という言葉にも全く反応を示さなかったわけだ。
「ソフィアから話は聞いている。ならば、正直に自分の話をしても問題ないと思ってな」
そういって、男は自分の過去を教えてくれた。
トシキと名乗った男は、あかつき号という船に誤って入船してしまい、物置で隠れていたところ、海難事故に巻き込まれ、溺れてしまったらしい。
あかつき号の事件といえば、偶然付近にいた警官が、嵐の中にもかかわらず単身で乗り込み全員救助したと、俺の記憶にある。
だが、乗員リストに無かったため、トシキの存在がわからなかったかも知れない。
ただ、俺の前世の記憶では、事件が発生したのは俺が転生する10年前の夏の話であるのに対して、トシキの話では俺の転生する3年前の話であった。
ひょっとすると、俺とトシキが転生する前の世界が異なる可能性が出てきた。
一度、時間を作ってゆっくりと検証作業を行う必要が有るだろう。
トシキは島で隠居生活を送っていた老人に助けられた。
老人の話では、樽の中に入っていた少年を発見し、救助したが、意識が戻らなかったらしい。
老人は最後の手段として、少年に対して、失われた
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