第62話 そして、勇者の凱旋へ・・・
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「待って」
「待ちなさい、アーベル」
俺はセレンやテルルの制止の声を振り切り、アリアハンに入る。
王城へと続く街路は、紙吹雪が地面に落ちていた。
「凱旋のパレードか」
俺は、バラモスが倒されたことを確信すると、王宮へと急いだ。
と、俺以上の早さで背後から迫ってきた。
「ピオリム」
セレンが俺に加速呪文を唱えてくれた。
「ありがとうセレン」
俺は、礼をいうと再び全力で走り出す。
まにあわなかったのか。
俺は、それでも、王宮を目指した。
それでも、自分にはなにかできることがある。
そう信じて。
王宮に入ったとたんに頭上から雷鳴がとどろく。
「間に合わなかったか」
俺は、足を止めずにそのまま王の間に突入する。
衛兵の制止を振り切った俺は、勇者の姿を見た。
久しぶりの再会だった。
俺とキセノン商会が用意した装備をキチンと身につけており、魔王を倒した風格さえ漂うように感じた。
だが、それ以上に威圧感を与えるのは、勇者の後ろにいた、三人の女性である。
先頭の女性は、髪を短くしていた。
服装はみかわしの服を改良しており、動きやすくまとめている。
左手には独特の形状のナイフを握りしめている。
ひょっとしたら、アサシンダガーかも知れない。
急所に当たれば一撃と言われている。
装備から推測すると盗賊だと思われる。
その後ろには、同じ姿の女性が左右に並んでいる。
彼女たちは、長い髪をツインテールでまとめている。
武闘着を身に纏い、右手には黄金の爪を装着していた。
姿から推測すると、武闘家なのだろう。
となれば、以前に勇者を誘拐した3姉妹ということになる。
確かに3人とも姿形はよく似ている。
彼女たちの装備品は簡素であるが、油断は出来ない。
タンタルの話では3人ともレベル99であり、またすべての呪文を使用できると言われている。
今の俺なら、1人だけなら相手が出来るとおもう。
だが、3対1ならば俺の敗北は確実だ
今、この時点で無ければ、誘拐犯として指摘することができただろう。
だがこの場では不可能だ。
なぜならば、魔王バラモスを倒した勇者一行として、3姉妹は存在しているからだ。
彼女たちも、英雄である。
不当に誹謗するものとして、逆に指摘したものが処罰されるだろう。
それに、魔王バラモスを倒した勇者が、実は誘拐されたままなどという話は、笑い話にもならない。
その事実が判明した段階で、勇者とアリアハンの権威は地に落ちる。
そのことを知っているからこそ、3姉妹は堂々と王宮に登場しているのだ。
俺の姿を見ると、余裕の笑みを向けてくる。
俺の考えを知った上での表情だろう。
俺の姿を確認したアリアハン王は、視線をそらす。
何があった。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ