第60話 そして、終わりの始まりへ・・・
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大魔王ゾーマが、倒れた姿のまま俺に話しかけた。
「アーベルよ、よくぞ我を倒した」
ゾーマに攻撃の気配は無く、ゲームであればこのままエンディングへ一直線だ。
当然俺達も、その道に突き進むつもりだ。
しかし、ゾーマの顔つきは変わっていない。
この状況で、ゾーマに何が出来るのだろうか?
「だが、残念だったな」
ゾーマは、残忍な笑みを浮かべると周囲の状況が一変する。
ゾーマめがけて、黒い霧のような物が集まりはじめた。
やがて球状の固まりとなり、ゾーマを包み込んでいる。
俺達は、黒い球に引きずり込まれるのを耐えながら、先ほどまでゾーマがいたところを注視する。
やがて、黒い球が消えると、無傷のゾーマが姿を現す。
再び闇の衣を身に纏っている。
「やれやれ、せっかく作った絶望の象徴が」
ゾーマは、後ろにそびえていた、かつての居城を眺めると、聞いたことのない呪文を唱えだした。
居城があった場所も黒い霧に覆われると、一瞬のうちに再生した。
「嘘だろ」
「・・・どうして」
タンタルがつばを飲み込みながら答えると、テルルは呆然としながらも感想を口にする。
「闇の力があるかぎり、何度でもよみがえる」
ゾーマの哄笑は、俺達に恐怖を植え付ける。
何故、ゾーマは復活したのだ。
理由がわからない。
だが、考えなければ、俺達は全滅してしまう。
ふと、周囲を見渡すと、この世界の明るさが変化した事に気がついた。
戦闘が終わったときは、月夜の明るさ程度だったのだが、今は夕暮れ時の明るさである。
「そういうことか」
俺の頭で、一つの可能性を思いつく。
「どういうこと?」
テルルが質問する。
だが、今答える訳にはいかない。
答えることで、パーティの士気がくずれる可能性があるからだ。
今回の作戦は失敗した。
俺は今回の作戦に必要なのは、
ゾーマの城へ移動する手段
ゾーマをおびき出すための作戦
ゾーマが纏う闇の衣を引きはがすための光の玉
ゾーマを倒すだけの戦力
これで完璧だと思っていた。
ゾーマが再生に用いた力、間違いなく闇の力だ。
ゲームでは闇の力で再生したことはない。
となれば、闇の力を使わせない必要があったのだ。
それが可能な存在は・・・
「ルビスか」
この世界アレフガルドを作ったとされる精霊の名前をつぶやく。
精霊ルビスは、ゾーマにより塔に封印されている。
ゲームでは、ゾーマの城に向かう過程でルビスを助けることになる。
だが、俺はルビスを助けなかった。
ゾーマを倒せば、世界も平和になるし、そのときにルビスの封印も解けるだろうと勝手に解釈していた。
どうやら、俺の考えが誤りだったようだ。
ならばどうする。
俺は、3人に合図を送ると、手
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