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ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第56話 そして、報告へ・・・
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が関係していたとはね」
「申し訳ない」
俺は素直に謝った。
「まあ、こちらの情報管理が甘かったのが原因ではあるのだがね」
キセノンは苦笑した。

概要については、既にキセノン商会の使いからもらった手紙で知っている。
だが、詳細については、直接話をするしかない。
「結論から言えば、エレンズにはハリス以上に才気と野心があったと」
「そんなところだ」
キセノンが調べた情報をまとめると次のようになる。

エレンズは、キセノン商会で働き出すと、みるみる頭角を示し、冒険者として世界を回っていた経験も買われ、経営部門の海外新規開拓担当を任せられた。
彼女はロマリアやポルトガでの営業所で情報を集めているなかで、西の大陸にある開拓村の状況を知った。

自分の才能と、当時付き合っていた同じキセノン商会で働くハリスの力を合わせれば、この村を拡張することができると確信していた。
エレンズはそのことをハリスに話したのだが、ハリスはもうしばらくキセノン商会で働くと断った。

エレンズはハリスが断った理由の一つに、テルルと結婚してキセノン商会を自分が引き継ぐことを理解し、開拓村での計画は中止にした。
エレンズはハリスがテルルと結婚し、ハリスがキセノン商会の経営を担った場合のことを考えていた。

エレンズはテルルよりも自分の方が先輩であり、キセノン商会には自分の存在が必要であると自信を持っていた。
ハリスからの助言をテルルは無視できないと。
それならば、成功まで何年もかかり、しかも他の業務を行うことが出来ないような、開拓村への事業の参画は見合わせるほうがいいだろうと。

一方で、エレンズは商人でもない俺のことを危険視していた。
俺が、テルルと結婚し、キセノン商会を受け継ぐことがあれば、自分がキセノン商会に与える影響力は限られると考えていた。
俺は、キセノン商会に入り浸っていたとはいえ、商人の仕事をしたことがない。

もしも、俺が商会の代表にでもなれば、テルルやハリス、エレンズのような優秀な商人に多くを任せることになると考えていた。
しかし、エレンズは、俺のことを買いかぶりすぎていたようで、子どものころに商人に必要な知識を得たので、冒険者としてより実践的な魔法使いに就いたと勘違いしていたようだ。

そして、彼女の勘違いは、俺がロマリア王としての治世を終わらせたことで、確信に変わっていた。
俺が順調に統治していた王国の王位を捨ててまで望むもの、それは平和になってから、さらなる勢力の拡大が見込まれるキセノン商会を手中に収めることだと、勘違いしたのだ。

キセノンと俺との話をハリスから聞いたエレンズは、キセノン商会での自分の将来は望めないとあきらめた。
エレンズはキセノン商会を辞めて、1人で開発村に行き、村の指導者として開発を
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